ダイエットのための運動を考えていくシリーズです。
ウォーキングやランニング。
皆さんも、一度は取り組んだことのある運動ではないでしょうか?
中でもウォーキングは手軽に始めることができるため、老若男女問わず人気があります。
マラソンに関しても、最近は都市型マラソンの普及もあり、一般の方々のランニング熱も高まりを見せているのは周知の事実です。
今回はランニング&ウォーキングがもたらすダイエットの効果について解説していきたいと思います。
脂肪燃焼にもってこいの有酸素運動
ランニングがダイエットにもってこいな運動だと言われている理由。
その一つが、ランニングは有酸素運動であることです。
まずは、運動の種類について知りましょう。
運動の種類
運動には、「無酸素運動」と呼ばれるものと、「有酸素運動」と呼ばれるものがあります。
単に口で息をするかしないかで区別されているのではありません。
「どのようにしてエネルギーを生み出すか」で種類分けをします。
無酸素運動
無酸素運動には、「ATP-CP系」と「解糖系」の二種類があります。
ATP-CP系の回路でエネルギーを生み出すときの主成分は、体内に貯蔵されているクレアチンリン酸です。
この物質は、もっとも早くエネルギーとして利用できるため瞬発力を必要とする種目、例えば陸上競技の短距離種目などでよく利用されます。
しかし、素早くエネルギーを生み出せる分体内への貯蔵量に限りがあり、多くの人は8秒前後の全力運動でATP-CP系からのエネルギー供給は終了してしまいます。
もう一つの無酸素運動である解糖系の主成分は、クレアチンリン酸と同じく体内に貯蔵されている糖質、グリコーゲンです。
筋や肝臓に貯蔵されており、運動の際には上記の成分が導入されます。
解糖系では、糖が分解されるスピードがポイントとなります。
ゆとりを持って分解されればグルコースがピルビン酸に、素早く分解されれば乳酸へと変化するのです。
乳酸は長らく疲労を引きおこす物質だと言われていましたが、近年ではその説は否定されつつあります。
乳酸のおかげで体内のpH低下が最小限に抑えられて身体の酸化を防いだり、心臓が動くエネルギー源となったりと体内へ好影響をもたらすことも確認されています。
そんな解糖系ですが、この経路単体では約70秒エネルギーを生み出します。
ATP-CP系よりは長く動けますが、この系統のみでは長時間動くことはできません。
有酸素運動
ATP-CP系や解糖系といったものたちよりも、低強度で長時間運動する際のエネルギー代謝に働くのが、有酸素系のエネルギー産生機構です。
この系統では、エネルギーを生み出す過程の中で、空気流にある酸素を利用します。
そのため、エネルギーを生み出すまでに多少時間がかかりますが、空気中の酸素がなくならない限り理論上は永遠にエネルギーを生み出し続けることができます。
まさに、ランニングにはうってつけのエネルギーを生み出す系統なのです。
また、有酸素系では代謝の過程で脂肪が利用されます。
そして、脂肪の利用割合は運動時間が長くなるほど増えていきます。
〇20分が切り替えポイント!
ランニングをするなら、「20分」を一つの目安にしてみると良いでしょう。
運動開始直後から脂肪はエネルギー源として利用され始めますが、割合としては糖質の方が多いです。
しかし、20分を超えると脂肪の利用割合が糖質よりも多くなります。
それ以降は、運動時間が長いほど、より多くの脂肪を燃焼させることができるのです。
もちろん、5分や10分のランニングでも脂肪は燃焼されています。
慣れてきたら、20分以上を心がけると練習効果を上げることができるとい言えるでしょう。
練習を豊かにする工夫!
ダイエット目的のランニングなら、なるべく走る機会を増やすことが有効です。
そのためには、自分で運動に動機づけを行わなくてはいけません。
特に、運動経験が今まで少なかった人は、モチベーションを失いやすい傾向にあります。
楽しく、効果を実感するためにできる一工夫をご紹介していきましょう!
運動強度を記録する
今日のランニングは自分にとってどのくらいの強度だったのかを知ることで、走った距離やペースと組み合わせて力の付き方を実感しやすくなります。
その時に役立つのが、「自覚的運動強度(RPE)」です。
運動時の強度、自分が感じたきつさを数字で表したもので、Borg Scaleという指標が有名です。
以下にその内容をまとめます。
☆自覚的運動強度
Borg Scale | New Borg Scale | |||
(オリジナル) | ||||
20 | ||||
19 | very,very hard | 非常にきつい | ||
18 | ・ | maximal | ||
17 | very hard | かなりきつい | 10 | very,vert strong |
16 | 9 | |||
15 | hard | きつい | 8 | |
14 | 7 | very strong | ||
13 | somewhat hard | ややきつい | 6 | |
12 | 5 | strong | ||
11 | fairly light | 楽である | 4 | somewhat strong |
10 | 3 | moderate | ||
9 | very light | かなり楽である | 2 | weak |
8 | 1 | very weak | ||
7 | very,very light | 非常に楽である | 0.5 | very very weak |
6 | 0 | nothing at all |
Borg Scaleは、数字を10倍するとほぼ心拍数になるように工夫されています。
ダイエットを目的としたランニングの場合、心拍数は推定で120~140回/分ほどが目安となるので、練習でもこの付近の強度を自覚できると良いでしょう。
また、New Borg Scale は、数字を10倍するとその運動が自分の持っている能力の何%程度かを示すように設定されています。
表を参考に考えると、5~7が適切な強度であると言えそうです。
ここで一つ気づくポイントがあるのですが、どちらの指標を目安にしても、運動の強度は決して限界まで身体を追い込むレベルではないことがわかります。
走るからといって、一回のランニングで目一杯走り切る必要はなく、余裕を持ちながらで良いのです。
大切なのは、この「少し余裕を持てるペース・強度での継続」。
1週間に取り組む回数を増やしていければ、自然とランニングに慣れて、ダイエットの効果が出てきます。
重視したいウェアやシューズ
ダイエット目的のランニングには何よりも継続が大切だと述べましたが、継続につなげるために重要なのが、怪我をしないことです。
これはウォーキングでも同じことが言えます。
ランニングも例外ではありませんが、疾走動作が加わる分、下半身を中心とした身体にかかる負担も大きなものになります。
不用意な怪我は非常にもったいないので、どんどん進化しているグッズを上手く利用して未然に防ぎましょう。
ロングタイツ
ランニングを始めたばかりの方でもっとも多い怪我が、膝痛です。
特に、肥満体型からのダイエットを目指してランニングを始める方に多く、序盤で発症してしまう方が多数います。
原因は明確です。
身体の重さが負担となり、その負荷が膝に集中して耐えられないことが一番の要因としてあります。
そこで利用したいのが、ロングタイツです。
画像のように、下半身全体を程よく締め付けて、ランニング時の下半身への衝撃を吸収する効果があります。
また、冬場には足が冷えるのを防ぐので、寒い中での運動で起こりやすい腱の炎症も予防でき、一石二鳥です。
今までほとんど運動習慣がなかった人にとっては少しのランニングでも予想以上にダメージを受けるため、ロングタイツを着用することをおすすめします。
以下のようなコンプレッションが効いているような商品は疲れが残りづらいのでおすすめです。
ランニングシューズ
もっとも慎重に考えたいのが、日頃使用するランニングシューズです。
価格やデザインなど、さまざまな観点から選ぶことになると思いますが、何よりも機能性についてよく考えるようにしましょう。
自分に合った正しいシューズを選ばなかった場合、靴擦れやマメの原因になったり、足が不必要な圧迫を受けて変形してしまう可能性があります。
そうならないためにも、シューズ選びでは以下の3つに注目しましょう。
①クッション性
陸上競技の長距離走者のようにタイムを求めないランニングスタイルであるならば、シューズの軽さよりもクッション性に重きを置きましょう。
クッション性のあるシューズはある程度厚底になっています。
そして、重量もそこそこあり、蹴り上げる動作は行いにくいようです。
そのおかげで、初心者にありがちなフォームの不安定さによる不規則な力のかかり方をクッションがカバーしてくれます。
ある程度の重量があるのも見逃せないポイントで、シューズが重い分、足の操作が安定して左右のブレが抑えられます。
摩耗しにくく薄底シューズよりも長期間使用できるのも利点の一つです。
②自分に適した足型
人間は次の3つの足型に分類できるとされています。
①エジプト型・・・親指が最も長く、小指にかけて指の長さが短くなっている。
②ギリシャ型・・・親指よりも人差し指が長く、小指にかけて短くなっていく。
③スクエア型・・・5本の指の長さがほぼ同じ。
日本人の約7割がエジプト型と言われており、日本の多くのシューズメーカーはこのタイプに合わせたシューズを多く売り出しています。
特に強いこだわりがない場合、よく見かけるタイプのものを選べば無難です。
しかし、ギリシャ型やスクエア型の足型を持つ人は注意が必要です。
ギリシャ型の足タイプの場合は、人差し指が靴に当たり窮屈に感じる恐れがあるため、つま先が細くなっているスリムタイプのシューズを選ぶと良いでしょう。
また、スクエア型の人は、つま先部分が横広く横幅の部分で窮屈に感じることが多いため、ワイドタイプのようなゆったりとしたシューズを選ぶようにしましょう。
③シューズのサイズ
意外と自分の本当の足の大きさを知らない人は多いのではないでしょうか?
スポーツ店などで一度計測してみると分かるのですが、自分が思っていたサイズと違うケースがほとんどだそうです。
何となく自分の感覚でサイズを選んでいたのであれば、まずは自分の正確な足のサイズを測ることから始めましょう。
そして、シューズを選ぶ際には、最初に実測値よりも1.5~2.0cm大きいシューズを試し履きします。
試し履きを必ず行って、自分の足に合うかどうかをきちんと見極めるのは、ランナーとしての基本です。
試し履きをした上で、甲の部分が窮屈に感じたり、土踏まずの部分(アーチ)が痛むといったサイズだけでは測れない気付きがあったら、再度選び直しましょう。
また、足のサイズ測定や試し履きを行う際には、できるだけ午後に店舗を訪れ購入を検討するのがおすすめです。
これは、時間が経つにつれて体重によりアーチ部分がたるみ足裏が広がってしまうことや、立位状態が続くと血液が足へと降りてきてうっ血することで、午後の方がサイズが大きくなってしまう可能性があることが理由として挙げられます。
自分に合ったシューズで、ストレスなくランニングに励みましょう!
日本人におなじみの運動「ウォーキング」
日本人は世界的に見ても、日常的な運動としてウォーキングやランニングに取り組んでいる人の割合が高いと言えます。
特に、この20年間でウォーキング・ランニング人口は2倍近く増加しており、2016年にはウォーキング人口は4592万人、ランニング人口は893万人という調査結果が出ました。
これは、世界的に見てもかなり多い数です。
多くの人がこれらの運動に関心を持ち、取り組んできた結果と言えますが、なぜ日本人はウォーキングやランニングを好むのでしょうか?
その背景には、日本が持つ運動環境の問題がありました。
日本には総合型運動施設が少ない
ヨーロッパやアメリカなどでは、市民が運動を行う場所の代表は、地域にあるスポーツ施設であることが多いです。
一つの施設内に体育館やサッカー場、テニスコート、プールなど様々な建物があり、人々が思い思いの運動に取り組んでいます。
政府が主導している様々な施策があり、立派な環境が整っているので、それを十分に活用すれば運動習慣は確保できるのです。
特にスポーツに対して先進的な取り組みをしているヨーロッパでは、「地域でスポーツができる施設はあるか」という質問に対して、70%以上の人が「ある」「どちらかといえばある」と回答しています。
対して、日本はどうでしょうか?
私たちの周りの環境をざっと見渡しても、スポーツに利用できる公共施設の数はあまり多くありません。
運動・スポーツの実施場所についての調査によると、最も多いのが「道路」で全体の36.3%。
道路でできる運動といえば、ウォーキングやランニングが最も連想されやすく、それ故に日本ではこれらの運動がメジャーなのです。
ちなみに、先ほどの調査で「公共施設」と答えた人の割合は、たったの5%。
日本人は未だ公共施設を使った運動の習慣を身につけていないようです。
日本人は忙しい
ウォーキング、ランニングの全ての運動内容に占める割合が高くなるもう一つの理由が、日本人には忙しいと感じている人が多いことです。
運動頻度を増やせない理由としてもっとも回答されているのが「忙しいから」であり、運動に割ける時間がそれほど多くない社会であることが分かります。
このような社会背景も踏まえて、今の日本人のスポーツライフをデザインしようとすると、限られた範囲でしか運動できない実情が見えてきます。
長すぎるウォーミングアップは時間が確保できない、加えて集団で取り組まなくてはならない運動については、全員が集まってから動くことに時間の無駄が生じるなど、さまざまな場面が時間に縛られてしまうのです。
これらも踏まえて、ウォーキングやランニングはどうでしょうか?
両方とも、一人で取り組むことができ、なおかつウォーミングアップに要する時間もさほど長くはありません。
工夫次第では、いくらでも時短ができて毎日行う環境を整えることができるのです。
昨今の情勢から働き方は変わり、自分で好きに使える時間は増えてくると思われます。
他にやりたいことがたくさんあったとしても、運動習慣の確立のためにスキマの時間に組み込みやすいのがウォーキングやランニングなのです。
脂肪を燃やすウォーキング
社会背景などから、ウォーキングやランニングがいかに私たちの生活にマッチした運動なのかが分かりました。
ここからは、そんな日本人向けの運動であるウォーキングで高いダイエット効果を発揮する取り組み方について考えていきましょう。
単にだらだらと散歩するだけでは、身体全体の筋が使われずにカロリー消費量も上がりません。
工夫を加えることが重要なのです。
「なんば歩き」で汗をかく!
皆さんが何も考えずに歩くとき、手と足はどのような動きをするでしょうか?
右手が前に出るときは、左足が前、左手が前に出る時は右足が前と、反対の手と足が前にある状態が生まれると思います。
これと反対で、右手が前の時は右足が前、左手が前の時は左足が前にあるように歩く方法を、「なんば歩き」と言います。
江戸時代に手紙を運ぶ役目を担い活躍した飛脚がこのようなフォームで走っていたのは有名な話で、浮世絵などに登場する人物もなんば歩きをしていたことから、昔の日本人はどうやらこのような歩き方をしていたと言えそうです。
なんば歩きのメリット
なぜ人々はなんば歩きをしていたのか?
その理由は、なんば歩きは身体への負担が少ないと言われていることにあります。
昔の人は現代人の何倍も移動のために歩く必要があったので、なるべくダメージを減らそうとしていたのです。
これは、衝撃が大きくなる固いコンクリートの上で運動する機会の多い現代人にも適応できそうです。
なんば歩きの方法
それでは、さっそくなんば歩きの実践編に移りましょう。
ただ同じ手と足を出すだけでは歩きにくく感じるだけで終わってしまうので、ポイントを意識して消費できるカロリーを増やします。
①基本姿勢
骨盤がまっすぐに立った姿勢に骨盤を乗せます。
無理に背筋を伸ばそうとすると、身体全体が固くなって不自然なので、背筋が曲がらない程度で自然体を心がけましょう。
そうすることで、手と足がスムーズに前に出るようになります。
②歩行
基本姿勢が作れたら、いよいよなんば歩きに入ります。
- 右手と右足から前に出していくときは、右手の平を少し上に向け、外側に少し捻りを加えながら肩関節を外旋させる。
2. 右足が地面について股関節の付近に体重が乗ったら、そのタイミングで右肩から腕を内側に捻るように手のひらを下に向ける。
3. 右肩関節を内旋させながら、右足のかかとで身体を前方に押し進め、自然に出でくる左足を前方に置くイメージで前に出す。
4. 左足でも同じ動作を繰り返していく。
全ての動作で一番気を付けなければいけないのが、決して地面を蹴らないことです。
地面を蹴ると、ふくらはぎや膝に負担がかかってしまうので、股関節主導の歩きができません。
足跡が残る砂地などでなんば歩きをすると分かりやすいのですが、通常の地面を蹴る歩き方と違って砂が掘れていません。
これは、股関節主導でスムーズな体重移動ができていることを表しています。
股関節が主導であるということは、より大きな筋を動かせているということです。
筋活動が活発になり、代謝が向上して消費カロリーが増えます。
怪我のリスクを減らしつつ、カロリー消費も増やすことができるなんば歩きは一石二鳥の歩き方なのです。
ウォーキングは何よりも継続が大切!
ウォーキングのみによってダイエットを考えるのであれば、何よりも大切なのが毎日の継続です。
これは他のトレーニングでも言えることですが、ウォーキングダイエットの場合は特に意識しなくてはいけません。
それもそのはず、ウォーキングで消費できるカロリーは他の運動種目に比べて少ないからです。
体重60kgの男性が時速4kmで歩いたとしても、消費できるのはたったの90kcal。
これは、食事に換算するとおにぎりの半分ほどしかありません。
対して、ランニングや筋トレだとウォーキングと同じ時間行えば、約2~3倍のカロリーを消費することができます。
1回の運動によるカロリー消費では分が悪いウォーキングですが、その分継続しやすいという利点があるので、毎日時間を取るように心がけましょう。
毎日続けるためのコツ
運動を継続するコツはさまざまですが、ここではよく用いられている方法をいくつか挙げてみます。
今までダイエットが長続きしたことがない、少し抵抗がある方は試してみると良いかもしれません。
①時間を固定する
時間に余裕があり、タイムスケジュールが比較的固定化されている生活を送っている方向きです。
一日の中で取り組む時間帯を決めることで、習慣づけしやすくなります。
②歩くコースを複数作る
毎日同じところをウォーキングしても、いつか飽きる日が来てしまいます。
いくつかコースを用意しておき、気分によって変えることで新鮮な気持ちで毎日取り組むことができます。
③お気に入りのウエア・シューズを使う
形から入るのも有効な手段の一つです。
普段のファッションと同じで、自分が気に入っているウエアやシューズがあれば自然と外に出たい気持ちが湧いてきます。
スポーツ店に行き、あなただけの相棒を見つけてみてはいかがでしょうか?
ウォーミングアップ・クールダウンの時短術!
運動をする時間が十分に取れない人にとっては、ウォーミングアップとクールダウンの時間もなるべく短くしたいところ。
最小限の時間で効果を発揮することを大切にしなくてはなりません。
そのような希望に応える方法がいくつかあるので、ご紹介していきます。
〇運動前に最低限行いたい「股関節回し」
ウォーミングアップでは、何種類もメニューをこなして怪我の防止やパフォーマンスの向上に努めることが大切です。
しかし、そのような時間が取れない人も大勢いるので、そのような方にとってはポイントを押さえたいくつかのメニューを確実に行うことが重要になります。
ウォーキングを行う前に行いたいのが、股関節回しです。
なんば歩きの項でも解説しましたが、ダイエット効果の大きいウォーキングは大きな筋を使うことがポイントです。
お尻や股関節周りの筋の可動域を広げておくことで、その周辺を意識したウォーキングを行いやすくなります。
反対に、これらの部位が縮こまっていると歩幅が狭くなって身体全体の動きが小さくなってしまうので、最低でも股関節周りの動的ストレッチを行ってからウォーキングに入りましょう。
〇ウォームアップジェル・クールダウンジェルを活用する
ウォームアップだと冬場、クールダウンだと夏場、外気の影響を受けて通常よりも時間がかかる場合があります。
そんな時に使いたいのが、用途別に開発されたトレーニングをサポートするジェルです。
充分なウォームアップやクールダウンをする時間を確保できなくても、塗るだけで最低限の補填をしてくれます。
手間いらずで怪我の予防にもつながるので、上手に活用してみてください。
☆おすすめのウォームアップジェル・クールダウンジェル
〇発汗を促す
より短時間(決まった時間)で消費カロリーを増やそうと思うと、効率的な負荷の追加が必要となります。
ネオプレンサウナスーツなどは、インナーとして着用してウォーキングするだけでコンプレッションによる運動強度の増加と、発汗によるデトックス効果が見込めるため最適でしょう。
〇セルフマッサージは心臓へ向かって!
筋疲労を残さないために、運動の後は素早く回復に努める必要があります。
ウォーキングも例外ではなく、特に始めた直後は想像以上に身体へ負担がかかっており筋肉痛なども現れやすいです。
そこで重要なのが、体内の老廃物を除去してあげること。
そのためにセルフマッサージを行うのです。
しかし、そのやり方が間違っていては意味がありません。
よく、親指を使って筋をグッと強く押し込んでいる人がいますが、そのやり方は時に逆効果です。
筋にかかった圧に対抗しようとして、以前よりも筋が固くなることがあります。
セルフマッサージのポイントは、強く押し込むことではなく、優しくなでることなのです。
そして、その時に末端から中枢、つまり心臓へと向かってさすることが肝心です。
心臓へと戻る静脈量が増え、循環機能が促進されていち早く老廃物が除去される環境が整います。
時間が取れなくても、筋をさすってあげる時間は少しでも確保しましょう。
押さえておきたい3つのこと
「ウォーキングを続けるコツも分かったところで、早速始めてみましょう!」と言いたいところですが、さらに大きな効果を得るために、もう少しウォーキングについて考えていきましょう。
散歩のようにただ歩くだけでも身体に効果は表れますが、ちょっとした事に気をつけるだけで、さらに効果を発揮してくれます。
①朝と夜、どっちがいいの?
ウォーキングを行う上で、取り組む時間帯は非常に重要です。
ここでは、朝に行う場合と、夜に行う場合のメリット・デメリットについて考えていきましょう。
まず、朝ウォーキングから考えていきます。
朝に行う最大のメリットとしては、脂肪燃焼効率が高いことにあります。
朝起きてすぐの空腹時はエネルギー源が不足しているため、身体を動かすために、体内に蓄積されている脂肪を分解しようとします。
そのため、通常時よりも効率よく脂肪が燃えてくれるのです。
またその他にも、日光を浴びることで神経伝達物質であるセロトニンが分泌されることで気分が高揚し、一日を活動的に過ごすきっかけとなるメリットもあります。
反対に、デメリットとしては、起床直後で体温が低く、筋肉が固くなっているため身体が動きにくいことが挙げられます。
そのような中で無理に身体を動かすと、怪我にもつながりやすくなるため、入念な準備運動で筋肉の温度を上げてあげることが必要です。
また、夜型の生活を送っている人にとっては、そもそも朝早くに起きることが難しく、習慣化しにくいこともデメリットとして挙げられるでしょう。
次に、夜ウォーキングについて考えていきます。
夜に行う最大のメリットは、睡眠の質の改善にあります。
寝る前の運動で自然な形で体温が上昇し、自律神経の調整機能が改善されて、睡眠の質が向上します。
また、その他にも生活習慣を大幅に変えずに取り組むことができるので、習慣化しやすいことも特徴の一つです。
しかし、夜の場合は朝と比べると脂肪燃焼効果は若干低くなります。
また、周りが暗く事故等の危険性が高まることにも注意して取り組まなくてはなりません。
②「20分以上」が目安
ダイエットが目的の場合、一回のウォーキングでは20分以上取り組むようにしましょう。
これは、体内のエネルギー消費のサイクルの大元が、約20分を境に糖代謝から脂肪の燃焼に切り替わるからです。
20分以下の時間でもある程度は脂肪の燃焼効果は期待できますが、さほど大きな影響はありません。
せっかく時間捻出するなら、最低でも20分は連続で歩いて、一回で得られる効果を上げましょう。
また、ウォーキングを開始した直後は、歩きすぎにも注意する必要があります。
運動に慣れていない身体は、腱や関節の柔軟性が不足している場合がほとんどです。
そのような中で身体に負荷をかけすぎると、オーバーワークになり炎症を起こしてケガをする危険性が高まります。
まずは20分、長くても30分を目安に始めて、慣れてきたら少しずづ時間を延ばしていくようにしましょう。
③正しい姿勢の重要性
ウォーキングと散歩の違いは、ここにあると言って良いでしょう。
正しい姿勢を身につけて歩くことで、ダイエット効果が向上するだけではなく、スタイルも大幅に改善されます。
特に、美しくなりたい願望を常日頃から抱いている女性は注目です。
正しい姿勢といってもいくつかのポイントがあるので、まずはそこから押さえましょう。
一般的に言われる正しい姿勢とは、「耳(耳穴)・肩(肩峰の前方)・腰(大転子)・膝(膝蓋骨側面)・足(外果の約2cm前)の5点が一直線上にある」状態のことを言います。
耳のポイントが前に来ている状態が「猫背」で、背中が丸まってしまい見た目もかっこ悪く、脊柱への負担も大きいです。
また、現代人には耳のポイントが前に来て、腰と膝のポイントが後ろにある「隠れ猫背」が多いと言われています。
この姿勢も、猫背同様に脊柱への負担が大きいため、背痛や腰痛の原因となってしまいます。
こういった間違った姿勢によるケガを防ぐためにも、まずは上に挙げた5点を意識した正しい姿勢を作るようにしましょう。
5点が一直線上に来ることで脊柱が自然なカーブを描き、上半身の重さが分散され腰への負担が減少します。
スタイルの改善を望むのであれば、もうワンポイント意識する箇所を増やしましょう。
それは、「肩甲骨の引き寄せ」です。
肩甲骨を引き寄せてしっかりと腕を振ることで、骨盤が前傾し体幹部の筋肉の動員が増加します。
その結果、大きな筋肉に刺激が加わり、大殿筋から下肢を動かすことができるようになり、結果としてハムストリングス以下の筋肉の動員が減少します。
つまり、太ももやふくらはぎへの負荷が減ることで筋肥大を防ぐことができ、夢の美脚へとつながっていくのです。
それと同時に体幹部の引き締めも起こるので、腹部の引き締めによるウエストの減少にも効果があります。
肩甲骨の引き寄せによる骨盤の前傾を作り出せれば、体重の減少とスタイルの改善で、かっこいい身体も現実として見えてくるでしょう。
日本人は、黒人や白人と比べ、通常時の骨盤の前傾が浅い民族と言われています。
ウォーキングでは意識して肩甲骨を寄せるようにして腕を振るように心がけましょう。
他のトレーニングにはないウォーキングの魅力とは
また、場所を選ばないという点も、ウォーキングの魅力の1つです。
マシンやウエイト器具を用いたトレーニングを行おうとした場合は、スポーツジムに通ったり機材を購入したりと何かと手間がかかります。
しかし、ウォーキングはシューズさえあれば、いつでも取り組むことができます。
さらに、時間やペースの変化、登り坂などを利用した負荷の変更も行いやすく、柔軟性に富んだメニュー作成も可能です。
シンプルな分、やり方次第では多様なトレーニングメニューを生み出すことができるのです。
そして、トレーニングを複数人で同時に行うことができるのも大きな魅力の1つです。
友人や恋人、家族と一緒に会話を楽しみながらできる、数少ないトレーニングだと言えるでしょう。
継続のためには、何よりも楽しむことが大切です。
1人で自分と向き合うことも必要ですが、交友を深めながら切磋琢磨することも、あなたのモチベーションの向上に一役買ってくれるのです。
まとめ
今回は、ダイエットのためのランニング&ウォーキングについて考えていきました。
何度も述べている通り両者とも継続することが何より重要です。しかし手軽にはじめられる分、その重要性もおろそかに考えてしまいがちなので油断は禁物。
初心者の方はまず、一回の練習で追い込みずぎないこと、怪我を防ぐことを念頭に置くことが大切です。無理をしないように基本的な部分からスタートすることをおすすめします。
この記事で今一度、ウォーキングとランニングの知識を学びまたは深め、実りあるトレーニングへと昇華させましょう!