マラソン練習プログラム ~実践期・調整期~

マラソンでの完走・記録向上を目指すトレーニングプログラムを紹介していくシリーズ。

最終回、第3回はレースで結果を出す最終段階、実践期と調整期についてです。

これまでの練習で身につけてきた力を発揮するための取り組みを考えていきます。

実力が付いていたとしても、それを発揮できなければ意味がありません。

正しいアプローチを知って、パフォーマンスを最大限に活かせるような準備をしましょう!

準備期と走り込み期は下記を参照。

「スピード」と「コンディショニング」の実践期

レースで通用する走りを身に着ける実践期。

これまでは力を蓄えることが目標でしたが、この期間ではレースに向けたスピードアップが目的となります。

それに加えて、体内環境の整備にもより一層取り組まなくてはいけません。

整理すると、実践期の目標は以下のようになります。

 

1:スピード持久力の向上

2:血液状態の改善

3:体脂肪率の減少

 

「スピード持久力の向上」のためには、ハーフマラソンをレースペースで走れるようになることが目標となります。

走り込み期②では30kmを走れるようになることが目標でしたが、そこでは長い距離に対する脚作りがメインでした。

それだけではレース前半からハイペースで走る準備ができません。

ハーフマラソンの大会にエントリーするなどして、実践を経験しておくのも1つの手段です。

10kmのレースでさらに速いスピードを体感するのも良いかもしれません。

「血液状態の改善」と「体脂肪率の減少」の2つは、コンディショニングの部分の話になります。

個人差はありますが、この期間に至るまでのトレーニングで血中にあり酸素運搬を担うヘモグロビンの量が減少していることも多いです。

ヘモグロビンが不足すると疲れやすい身体になってしまいますので、普段から鉄分を多く含んだレバーやほうれん草などの食材を摂取しましょう。

加えて、汗を大量にかくトレーニングや、頻繁にサウナに入ることも血液状態の悪化を招くため控えるようにします。

体脂肪率に関しては、マラソンに適切な10%台を維持することを目標としましょう。

これまでのトレーニングで下がっているとは思いますが、実践期では練習量を減らすため、食事量によっては体脂肪率が上がってしまいます。

体脂肪は毎日チェックして、値に応じて食事の量を調節するようにしましょう!

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レベル別トレーニングメニュー ~実践期~

次に、レベル別でのトレーニングメニューを紹介していきます。

どのレベルにも共通しているのが、スピードアップを目的としたメニューが増えていることです。

一回の練習での負荷も必然的に高くなりますので、大まかな流れを把握してメリハリをつけましょう。

完走目標ランナー

※赤字はポイント練習

第1週 rest 30分jog rest 40分ビルドアップ走 rest 30分jog+流し3本 60分walk

+60~70分jog

第2週 rest 30分jog+流し3本 rest 40分ビルドアップ走 rest 30分jog+流し3本 90~100分jog
第3週 rest 40分jog+流し3本 rest 30分jog rest 20分jog+流し3本 90~120分jog

or ハーフマラソン出場

第4週 rest 30分jog rest 40分ペース走 rest 20~30分walk 90~120分jog

完走が目標のランナーの場合は、実践期のスタミナ育成に重きを置き、週末の90~120分jogをしっかりこなすことを目標とします。

ビルドアップ走やペース走でも、ペースを上げすぎて走り切れなくならないよう、ゆとりをもったタイム設定を心がけましょう。

restでしっかり疲労を抜けるよう、ストレッチやマッサージを入れると、なお良いです。

ビギナーランナー

第1週 rest rest or 20分walk 30分jog

(疲れが気になる場合はrest)

6kmペース走(6’30″~6’40″/km) rest 40分jog+流し3本 90分jog
第2週 rest rest or 20分walk 30分jog+流し3本

(疲れが気になる場合はrest)

6~8kmビルドアップ走(7’00″→6’30″/km) rest 40分jog+流し3本 90~100分jog
第3週 rest rest or 20分walk 30分jog+流し3本

(疲れが気になる場合はrest)

6~8kmビルドアップ走(7’00″→6’30″/km) rest 20分jog+流し3本 90~120分jog

or 10km,ハーフマラソン出場

第4週 rest rest or 20分walk 30分jog+流し3本

(疲れが気になる場合はrest)

6~8kmビルドアップ走(7’00″→6’30″/km) rest 30分jog+流し3本 90~120分jog

4時間台での完走が目標であれば、7分20秒/kmペースを覚えることが重要です。

長く走る練習に加えて、週の真ん中にあるビルドアップ走でペース変化の感覚を養いましょう。

疲労が溜まってしまった場合は、2日restを取って十分に回復させて、1回の練習の質をキープするように気を付けます。

サブ4ランナー

第1週 rest 30分jog+流し3本 5kmビルドアップ走(5’30″→5’00″/km) 30分jog rest 30分jog+流し3本 20~30kmビルドアップ走(6’00″~5’30″/km)
第2週 rest 30分jog 8kmビルドアップ走(5’30″→5’00″/km) 30分jog rest 30分jog+流し3本 25~30kmペース走(5’40″/km)
第3週 rest 40分jog+流し3本 8kmビルドアップ走(5’30″→5’00″/km) 40分jog rest 40分jog+流し3本 20~30kmビルドアップ走(6’00″~5’30″/km)

or ハーフマラソン出場

第4週 rest 40分jog+流し3本 1000m×5本インターバル走(5’00″/km)

 

40分jog rest 40分jog+流し3本 15~20kmペース走(5’30″/km)

3時間台で走るためには、5分40秒/kmペースで走りきる必要があります。

このレベルまで来ると、ある程度のスピードが求められるため、普段から流しを入れて足に速い刺激を入れましょう。

週末のビルドアップ走に余裕で持てるようになると、サブ4がぐっと近づいてきます。

サブ3ランナー

第1週 rest or 20分jog 50分jog+流し3本 8~10kmペース走(4’00″~4’10″/km) 30~40分jog rest 30~40分jog+流し3本 15~25kmビルドアップ走(5’00″→4’30″/km)
第2週 rest or 20分jog 50分jog+流し3本 1000m×5~7本インターバル走(3’40″~3’50″/km) 30分jog rest 30~40分jog+流し3本 20~30kmビルドアップ走(5’00″→4’00″/km)
第3週 rest or 20分jog 60分jog+流し3本 8~10kmビルドアップ走(4’15→3’50″/km) 30~40分jog rest 30~40分jog+流し3本 20kmペース走(4’10″/km)
第4週 rest or 20分jog 40分jog+流し3本 400m×10本(86″~90″/400m) 30分jog rest 30~40分jog+流し3本 20~30kmビルドアップ走(4’30″→4’00″/km)

サブ3ランナーにとってはスピード持久力が不可欠な能力となります。

週の真ん中でインターバル走やビルドアップ走に取り組みスピードを入れつつ、週末は長い距離をレースに近いペースで走る練習をしましょう。

加えて、ポイント練習だけではなく、つなぎのjogでも疲労抜きや足づくりを進め、レース後半に耐えることができるスタミナを習得することも重要です。

後半にペースアップする感覚を掴みましょう。

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ピークを合わせる「調整期」

レース直前の仕上げである「調整期」。

体調を整えて、パフォーマンスを最大まで高める期間です。

この期間は特に、新しく特別な練習をするのではなく、今までやってきた練習を信じて必要なエッセンスだけを練習で行います。

「能力は維持、調子は向上、疲労は軽減」をモットーにしましょう。

調整期の注意点

レースの2週間前から取り組む調整期のメニューですが、いくつか注意点があります。

➀本数や距離にこだわりすぎない

疲れを溜めたり、走りのリズムを乱すのが一番怖いことです。

いつもと感覚が違った場合は、予定していたメニューを無理して続けるのではなく、やめる勇気も持ちましょう。

jogの距離やペースも、柔軟に変更していきます。

②カーボローディングはやりすぎない

食事での炭水化物摂取量を上げて、体内のグリコーゲン貯蔵量を増やすカーボローディング。

今では広く浸透するようになりましたが、その方法を誤って理解している人も多いです。

炭水化物をたくさん食べるのは良いですが、それを行うのはレースの3日前からが良いとされています。

加えて、レース7~3日前までは、炭水化物摂取量を減らし、あえてグリコーゲンを使い果たさなくてはいけません。

この期間の過ごし方が難しく、慣れていないと身体に力が入らなくなったり、頭が真っ白になったりする場合があります。

特に市民ランナーはリスクが大きいため、完走が目的であれば普段通りの食事をしっかりと行えば十分でしょう。

レベル別トレーニングメニュー ~調整期~

実践期同様、調整期でもレベルによって取り組むべきメニューは異なってきます。

レベルに合わせたメニューを参考にしてみてください。

完走目標ランナー

第1週 rest 30分jog+流し3本 rest 40分ビルドアップ走 rest 30分jog+流し3本 40~50分jog
第2週 rest 30分jog+流し3本 4kmペース走(7’30″/km) rest 30分jog rest 本番

完走目標ランナーの場合、準備期から実践期までそれほどトレーニング量は多くありません。

1回あたりのトレーニング量を減らして、週3~4回の練習を維持しましょう。

体重の管理に十分な注意を払うのも大切です。

ビギナーランナー

第1週 rest 30分jog+流し3本 rest 6~8kmビルドアップ走(6’30″→6’20″/km) rest 30分jog+流し3本 1000m×3本インターバル走(6’00″/km)
第2 週 rest 30分jog+流し3本 5kmペース走(6’30″/km) rest 20分jog+流し3本 30分walk 本番

週に4回、体力を維持するような意識で調整を進めていきます。

最終週には水曜日にポイント練習を入れていますが、疲れが残ることを懸念する人はjogに変えても構いません。

興味がある人はカーボローディングに取り組むのも良いですが、過度な調整には注意しましょう。

サブ4ランナー

第1週 rest 30分jog+流し3本 30分jog 8kmペース走(5’30″~5’50″/km) rest 30分jog+流し3本 1000m×3~5本インターバル走(5’00″/km)
第2週 rest 30分jog+流し3本 5kmペース走(5’30″/km) 30分jog rest 30分jog+流し3本 本番

サブ4ランナーの調整期メニューでもっとも大切なのが、レース1週間前のインターバル走です。

この練習に軽めのピークを持ってくるのも良いでしょう。

調子の波を意識して、うまく当日へと仕上げる感覚を養います。

サブ3ランナー

第1週 rest 50分jog+流し3本 8kmペース走(3’50″~4’00″/km) 30分jog rest 30~40分jog+流し3本 7kmペース走(3’40″~3’50″/km)
第2週 rest 30分jog+流し3本 5kmペース走(4’00″~4’10″/km) 40分jog rest 30分jog or 20分walk 本番

サブ3ランナーが目標のランナーは、レース1週間前に速めのペース走を行います。

レースで予定よりも速い入りになっても、慌てないようにするためです。

ペース走を多めに入れて、リズムを掴みましょう。

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自信を持ってスタート地点へ!

今回でマラソンのためのトレーニングプログラムの解説が終わりました。

これであなたもマラソンを走りぬくための力を身につけました。

あとは自信を持って臨むだけ。

練習でやってきたことを信じて、レースで力をぶつけましょう。

皆さんの目標達成を、応援しています!

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