マラソン練習プログラム ~準備期~

マラソンでの完走・記録向上を目指すトレーニングプログラムを紹介していくシリーズ。

第1回は練習に取り組んでいくにあたっての基礎となる準備期についてです。

マラソンに必要な資質、そしてトレーニングの流れや基礎作りのために重要なことを学んでいきます。

何事も最初が肝心。

最初につまずくとその後も苦労することになります。

良いスタートダッシュを決めるため、土台となる理論・知識をしっかりと勉強していきましょう!

マラソンに必要な資質・能力は?

日本人初のオリンピック選手で、「マラソンの父」と呼ばれる故・金栗四三先生。

お正月の風物詩、箱根駅伝を作ったのはこの人で、2019年放映予定の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」のモデルにもなっている陸上長距離界で権威ある人物です。

そんな彼は、生前こんな言葉を残しています。

「体力・気力・努力」

マラソン練習に取り組む際に重要なことを述べた言葉ですが、まさしくその通りで、現代でもそのまま引き継がれています。

みなさんもこの3つが重要なのはイメージしやすいのではないでしょうか?

しかし、この言葉だけではまだ具体性が不足しています。

もう少し具体化してマラソンに必要な資質や能力を考えていきましょう。

①正しいフォーム

長い距離を走ろうと思ったら、まずは正しいフォームを作ることから始めましょう。

早い段階で正しいフォームを習得することにより、レベルが上がって走る距離が伸びてきた際にも、ケガのリスクを軽減することができます。

以前フォームについては解説を行ったため細かい説明は割愛しますが、意識する点としては大まかに「骨盤の向き」「接地」「重心移動」の3つです。

この3つがマスターできれば、大きな動きの乱れは無くなります。

②強い心肺機能

これも身体機能的な能力で、マラソンには必須です。

運動が苦手な人でも、練習を積み重ねていくことで高めていくことができる能力でもあり、練習の成果が直結してきます。

後にも述べますが、この能力を高めるためにはとにかくジョギングすることが有効です。

そのため、ジョギングがマラソン練習の基礎となるのです。

③折れない精神力

この言葉を聞くと、「どんなにきつくても練習を続けなくてはいけない」ことと勘違いする人がいます。

決してそうではなく、楽しむ気持ちを常に忘れず、明確な意思を持ち、体調不良やケガなど不測の事態にも臨機応変に対応する資質のことを指します。

この資質を高めるためには、適切な目標設定を行うことが重要です。

正しいスキルを学べば誰でも高めることができます。

 

以上3点がマラソンに必要な資質・能力です。

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適切な練習計画を立てる!

次は、練習計画の立て方を学んでいきましょう。

スポーツに限ったことではありませんが、何事も全体像を捉えた後に細かなセクションを考えていくことが成功のためには必要です。

特に、準備期のうちにきちんとしたプログラムを組めるようにしておくと、今後様々なメニューが入ってくるようになっても、上手くメニューを組み合わせていくことができます。

プログラムの設計を、マラソン練習の場合に置き換えて考え、まずは全体像を抑えましょう。

5つのトレーニング期

今回は準備期ということで考えていますが、もちろんその後にもいくつかのセクションがあります。

様々な期分けの方法がありますが、今回は5つに区分してみました。

それが以下の通りです。

①準備期   ②走り込み期Ⅰ   ③走り込み期Ⅱ   ④実践期   ⑤調整期

期分けの中に調整期を入れているところがポイントで、結果が伸びないランナーはこの期間が不足していると考えられます。

走る身体へと変化させ、さらにレベルを引き上げる練習はなされていますが、本番前に練習量を落とす期間を作ってパフォーマンスを高める考え方はなかなか浸透していません。

これは普段の練習でも同じで、毎日負荷の高い練習を続けてもかえって疲れてしまいパフォーマンスの低下を引き起こすこともあります。

メリハリが大切なのです。

 必ず入れたいウォームアップとクールダウン

トレーニング前後の準備とケアは不可欠で、適切な処置をしなければ即ケガに繋がります。

ウォームアップは練習やレースのための準備で、心拍数を少しずつ上げて筋肉を徐々に温めていき、練習開始時の身体への負荷を減らすこと、関節の可動域を広げることが目的です。

運動熟練者あれば、ウォームアップによりその日の体調を把握して、練習の強度を調整したりもします。

一方、クールダウンはトレーニング後のケアで、呼吸を整えて心拍数を下げ、心臓への静脈還流量を増やして筋肉の疲労物質を循環させて取り除き、素早い回復を促すことが目的です。

翌日以降の体調に大きく響いてくるので、疎かにせずきちんと取り組みましょう。

ウォームアップ・クールダウンのメニュー

具体的には、ウォームアップ・クールダウン共にウォーキングと軽いランニングが基本となります。

まずはゆっくりとウォーキングから入り、身体が動いて来たら徐々にランニングへと移行する形が理想です。

この2つは本メニューの前後で必ず入れるようにしましょう。

そして、注意したいのがストレッチについてです。

ウォームアップとクールダウンでは用いるべきストレッチは異なり、ウォームアップでは動的ストレッチ、クールダウンでは静的ストレッチを重視するようにしましょう。

動的ストレッチは筋温を上げて関節可動域を広げることに加えて、神経系にも刺激を入れたいのでリズミカルな動作を心がけます。

静的ストレッチでは、運動により生じた筋の張りを取るのが目的なので、ゆっくりと息を吐きながら筋を伸ばしていきましょう。

練習日誌をつける!

適切な練習計画の設定には、毎日の自己管理が必要です。

そこで、練習日誌をつけて、データとして毎日の練習や体調を把握しておきましょう。

書く内容は人によってアレンジも自由ですが、必ず書きたいのは「トレーニングメニュー」「練習前後の体調」「就寝時間と起床時間」「食事内容」「コメント」の5つです。

これに加えて、気温や練習前後の心拍数、練習前の体温や体重まで記しておくと、より密なデータを集めて分析を行いやすくなります。

練習日誌の最大のメリットは、モチベーションの構築を行いやすくなることです。

例えば、調子を崩して思うように走れなくなっても、過去のデータを振り返って原因を探ることで解決の糸口を発見しやすくすることができます。

毎日書くのは少し骨の折れる作業だとは思いますが、根気強く続けて習慣にしてしまいましょう。

ポイント練習の考え方

心拍数の上がるきつい練習を、陸上の世界ではポイント練習と呼びます。

きつい分練習効果が非常に高いのですが、どんなトップレベルのランナーでも、1週間に取り組む量としては2~3回までとなっています。

その理由は、練習効果が高い分身体への負荷も大きく、体調不良やケガのリスクも上がるからです。

そのため、ポイント練習以外の日は軽めのジョギングを行って、疲労を抜いたりしています。

しかし、運動経験がない人の場合には、通常のジョギングでもきついところまで追い込んで負荷が上がってしまい、オーバートレーニングに陥る危険性が高いです。

まずはゆっくりと長い距離を走れるようになることが目標ですので、無理にペースを上げる必要はありません。

週に1回、いつもより少し速く走るぐらいで丁度良いのです。

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準備期で取り組む4つのメニュー

ここからは、実際の練習メニューとその目的に触れていきましょう。

マラソン練習に有効なメニューは数多くありますが、準備期に必要なのは「ウォーキング」「ジョギング」「ペース走」「ウインドスプリント」の4種類です。

まずはこの4種類をきちんと行いましょう!

①ウォーキング

ここでのウォーキングは、ウォームアップやクールダウンで取り組むものとは別で考えます。

意識するのは姿勢で、フォームを固めるのに非常に有効なトレーニングです。

また、疲れている際にはリフレッシュのために導入しても良いでしょう。

フォームを固めることが主な目的ですので、常にジョギングの動作を再現するように意識します。

背筋を伸ばし、視線をまっすぐにしてリズムよくきびきびと歩けば、ジョギングへと動作をつなげやすくなるので、ダラダラとした動きにならないよう注意することが重要です。

運動初心者は、1回の練習でランニングと併用して取り組んでもらっても構いません。

②ジョギング

4つのトレーニングの中でも、最も重要度が高いトレーニングです。

全ての基本となるトレーニングであり、この練習がしっかりできないとマラソンは走れないでしょう。

ポイントは、とにかくゆっくりと長い距離を走ることです。

初心者の場合は1km6~8分のペース、慣れてきたら1km5~6分のペースで8~10kmを走る練習を積んでいきましょう。

走る際は、ウォーキングで身に着けたフォームを速い動きに落とし込むことも意識します。

腰の位置を高く保ち、リズミカルに腕を振って走りましょう。

基本的には1週間の中で3~4日、体調次第ではウォーキングと組み合わせながら取り組むと、効果的な脚作りを行うことができます。

③ペース走

準備期のポイント練習は、ペース走がおすすめです。

ジョギングの延長線上にある練習で、決められた距離を少し速いペースで走ります。

具体的には、ATペース(血中乳酸濃度が2mmol付近のペース)と呼ばれる範囲での走りで、心拍数だと130~160回/分が目安となります。

ペース感覚を養うほか、スタミナやスピード持久力のアップも期待できる練習です。

この練習を行う際のポイントは、距離とタイムを明確に把握することです。

距離表示がある場所で、時計をつけて時間を計測しながら走ってペースの管理を行いましょう。

走る距離は、6~8kmを目標とします。

1週間に1~2回行うだけでも、大幅に効果がある練習です。

④ウインドスプリント

80%ぐらいの力で短い距離を走るトレーニングです。

「流し」とも呼ばれており、スピードアップを図るほか、リフレッシュにも効果があります。

通常はジョギングやペース走が終わったあと、身体に速い刺激を与えるために行うのが一般的です。

徐々に加速して全力の80%付近に達したら少しそのスピードを維持し、徐々に減速するようにします。

また、走る際には大きなストライドでダイナミックに走ることを意識すると、翌日以降のジョギングでのストライドの伸びにも繋がっていきます。

スピードを体感するのが重要なので、力まないことに加えて流れる動きを心がけて、疾走感を味わいましょう!

※番外編 完全休養

この4つ以外にも、完全休養をメニューとして捉えることもできます。

休むことも大切で、筋疲労や内臓疲労が気になってリセットしたいとき、気持ちが疲れているときのリフレッシュにもなります。

日本人は勤勉な性格からか、休むことを嫌う節があります。

休んだ分だけ、能力が低下してしまうという誤った認識がなされているのです。

しかし、様々な研究や私自身の経験も踏まえて、こう断言することができます。

人間の身体能力は、1日や2日休んだ程度では低下しません。

それよりも、疲れている時の運動によるおかしな動作が身についてしまうほうが、後々苦労の種となります。

1週間のなかで、1~2日は意図的に完全休養の日を設けるようにしましょう。

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ランナーらしい生活の構築を!

今回は準備期のトレーニングについて解説を行ってきました。

今後のトレーニングを左右する期間。

この期間でランナーとしての意識を高めることが不可欠です。

例えば食事に関しても、毎日3食規則正しく食べるだけでも身体の成長は違いますし、睡眠も質を高めるために就寝前のスマートフォンやパソコンの画面の見すぎは避けるなど、ほんの少しの心がけでも違います。

自分の中で「これだけは頑張ろう!」と思えることを1つ決めてみてください。

また、走ることを好きになるために、好きなシューズ・ウエアを揃えることから始めても良いでしょう。

近年はおしゃれなマラソングッズが数多く販売されており、スポーツ店などで気軽に購入できます。

シューズに関しては、以前特集しているので、そちらも参考にされてみてください。

 

次回は、走り込み期Ⅰについての解説を行います。

まずは準備をしっかりと!

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