持久力向上のために必要な練習とは?メニューを組み立てる際のポイントも紹介!

「持久力」という言葉は日常でもよく耳にすると思います。

しかし、実際のところそれがいったい何なのか知らない人は多いのではないでしょうか?

今回は、持久力を構成する重要な要素について解説し、その能力を向上させる方法に迫っていきます。

また、速く、長く走るために必要な筋力をつけるトレーニングも紹介します。

次の練習から意識して取り組むことができる内容です。

持久力を決める要素「VO₂MAX」とは?

「持久力をつけたい!」と思い練習を始めたそこのあなた!

 

心意気は素晴らしいですが、間違った練習方法を行っていては持久力が向上しないばかりか、せっかくのやる気まで失われてしまいかねません。

そうならないためにも、トレーニングを始める前に、持久力を決める要素について理解をしておきましょう。

その名も、VO₂MAXです

VO₂MAXとは日本語で「最大酸素摂取量」のことで、運動中、1分間でどれだけの量の酸素を体内に取り込むことができるかを示した指標です。

持久力向上のためには必要不可欠な能力で、20代~30代男性の平均値が約40ml/kg/分、トップレベルの選手になると、「最強の市民ランナー」として世界でも戦ってきた川内優輝選手は82ml/kg/分といわれています。

つまり、この能力を高めることが、結果として持久力の向上へとつながっていくのです。

初心者が取り組むべきトレーニング

VO₂MAXを高めるためには、主に2つのメニューを継続して行っていく必要があります。

1つ目は、基本中の基本、ジョギングです。

このジョギングという言葉、人によって捉え方はさまざまですが、ただやみくもに走れば良いわけではありません。

適切なジョギングを行うためには、現時点での自分のVO₂MAXを知るところから始めましょう。

参考:マラソンタイム予測ツール!最大酸素摂取量(VO₂MAX)も計算!

適切なジョギングの運動強度は、自分のVO₂MAXの59~74%と言われています。

そして、VO₂MAXの割合は最大心拍数の割合と関連があると言われているため、最大心拍数を目安にペースを考えます。

最大心拍数は220-年齢求めることができるので覚えておきましょう。

20歳の人は200が最大心拍数となります。

これを100%とすると、最大心拍数の59~74%は118~148回となるので、練習の際はこのあたりの心拍数をターゲットにしましょう。

この強度は、体感的に走っていて楽だと感じることができるペースです。

この強度でのジョギングが、もっとも心臓の収縮力を高めることができ、また毛細血管の働きが促進されて、より多くの酸素を活動筋に運搬できるようになります。

つまり、とてもきつい運動をしているという自覚がないのにも関わらず、心臓はさかんに活動をして強化されていくのです。

ランニングを始めたばかりの初心者、または長く走ることから遠ざかっていた人は、とにかく継続して楽なジョギングを行うことから始めましょう。

ランニングを始めたころは、この快適なジョギングによってVO₂MAXを高めていくことができます。

最初は頑張って30分走ることから始め、慣れてきたら40分、50分・・・と徐々に時間を延ばしていけるようにしていきましょう。

大切なのは、きついペースで歯を食いしばって頑張ることではなく、余裕を持って長く走ることができるペースを掴み、継続して行うことです。

ジョギングに慣れてきたら・・・

60分間のジョギングができるようになったら、次の段階へと進んでいきます。

VO₂MAXを高めるトレーニング、2つ目はインターバル走です。

インターバル走とは、疾走期と緩走期を繰り返し行うトレーニングのことで、疾走期に心拍数を上げることで負荷をかけていきます。

しかしこのインターバル走、実はさまざまな解釈がなされており、強度や緩走期の捉え方も1つではありません。

10人いれば、10通りの答えが返ってくるでしょう。

ここで大切なことは、インターバル走の強度は、疾走期に自分のVO₂MAX付近に達するように設定し、緩走期で疾走期のスピードを保てるような準備を行えるような時間を確保することです。

疾走期と緩走期の時間配分の目安としては、疾走期:緩走期=1:0.5~1が理想と言われています。

参考:適切なランニングペースを知るための、ダニエル図式ランニング用計算ツール

インターバル走によるトレーニングでは、VO₂MAXに達して走っていた時間が、そのまま練習効果につながるという研究結果もあります。

例えば、自分の400mの適切なインターバルペースが80秒だとして、400m×8本のインターバル走に取り組むとします。

1~3本目に75秒と自分のインターバルペースを超える速度で走り、その後83秒で5本走るよりも、8本全て80秒で走り切った方が、効果は高くなるのです。

また、VO₂MAXに達して走る時間は1本あたり3~5分としましょう。

5分を超えて疾走期を設けると、身体への負担が大きくなりすぎるため、序盤はVO₂MAX付近で走れても、途中で失速してメニューの質が下がる可能性が高くなります。

継続してインターバル走を行っていくためにも、1回の練習で追い込みすぎないように心がけましょう。

例:インターバル走のトレーニングメニュー

○VO₂MAX=65ml/kg/分の人の場合(5000m17分30秒のレベル)

・200m×2~15本 設定40~42秒 R=100mジョグ、30~35秒

・400m×8~12本 設定81~83秒、R=200mジョグ、65~70秒

・1000m×3~5本 設定3分25~28秒、R=100~130秒

・1200m×2~4本 設定4分05~10秒、R=400mジョグ、3分~3分20秒

※本数は調子やメニューの強度設定によって変更する

効率の良いトレーニングのために

ジョギングとインターバル走が、VO₂MAX向上のために必要なことだとここまで述べてきました。

この2つのトレーニングをうまく組み合わせてメニューを組むことで、さらなる練習効率の向上につながります。

その際、ポイントとなるのは、超回復をうまく利用することです。

超回復とは、筋肉がトレーニングによって疲労したあと、一時的に筋量が減少するものの、適切な休息を取ることによって、トレーニング前よりも筋量が増加する現象のことを言います。

この適切な休息というのが大切で、24~48時間後に効果が表れると言われています。

休息が短すぎると、筋量が増加する前に筋繊維を破壊してしまうため逆効果となり、休息が長すぎると今度はせっかく増えた筋量がトレーニング前のレベルにまで戻ってしまうのです。

そのため、強度の高いインターバル走は週2日~3日までとし、残りの日はジョギングや完全休養でつなぐようにしましょう。

インターバル走の合間のジョギングは、血液循環を促して老廃物を体内から除去する上でも効果的です。

例:1週間のトレーニングスケジュール

※ペース、時間、本数等はレベルに応じて決める

月曜日:50分~70分jog ・・・ベースとなる心肺強化と脚作り、調子次第で後半ペースアップも良い

火曜日:40分jog ・・・翌日のインターバル走に向けた疲労抜きをイメージ

水曜日:400m×8~12本 ・・・インターバルトレーニング、ポイント練習1

木曜日:30~40分jog or walk ・・・前日のトレーニングからの疲労回復

金曜日:50~60分jog or 40分jog+200m×3本(8割程度、間は100mwalk)

・・・翌日のインターバル走に向けた動作の確認、水曜の疲労が残る場合は回復に充てる

土曜日:1000×3~5本 ・・・インターバルトレーニング、ポイント練習2

日曜日:完全休養 or walk ・・・リフレッシュによる回復

 

このように、1週間の中でポイントとなるメニューを絞って、そこに向けて強度を調節すると、回復と強化を明確にしてトレーニングを行うことができます。

上のメニューの例だと、水曜日と土曜日がインターバルによる強化練習で、火曜日と木曜日が休養を意識したメニューとなっています。

月曜日と金曜日は、身体の状態に合わせて強度を調節するなどして、自分に合った強度を探っていきましょう。

もちろん、ポイント練習を週3日に増やしたり、曜日を変更したりしてもかまいません。

休養をきちんと取って、1回の練習で得られる効果を最大限に高めることができるように工夫をしていきましょう。

走りを変える体幹トレーニング!

持久力を向上させるためには、心肺機能の強化ももちろん大切ですが、フォームの安定も重要です。

その理由は、フォーム安定により走る際のエネルギーロスを減らすことができ、より効率よく前へと身体を運ぶことができるようになるからです。

海外の長距離選手の身体つきを見てもらえれば分かりますが、筋肉がムキムキついているというよりも、細く締まったしなやかな筋肉がバランスよく鍛えられています。

これは、大きな筋肉をつけると、それを動かすための栄養や酸素が筋肉へと行き過ぎてしまい、肝心な循環器への循環が後回しになってしまうからです。

長距離選手は、大きくて馬力のある筋肉を目指すのではなく、身体の内層を覆っている、「体幹」と呼ばれる筋肉を強く鍛えていくことを目標としましょう。

体幹とは、脊柱を中心とした腹部や背部、臀部の筋肉のことを指しており、「CORE」とも言われています。

まさしく身体の核となる部分で、強化することにより姿勢がよくなり、ランニング中の身体のブレが減ります。

そのトレーニング方法は多々ありますが、今回は基本となる3つのメニューを紹介します。

①フロントブリッジ

うつぶせになり、両方の前腕とつま先で身体を支えます。

頭から足までをまっすぐ一直線にするように心がけて、姿勢がぶれないようにキープしていきましょう。

お尻の穴を引き締めるようにすると、腹部の内層を覆っている腹横筋に力が入り、より体幹部を引き締めることができます。

慣れてきたら、片足を上げてより不安定な状態を作り出して負荷を上げたり、横向きのサイドプランクに変化させたりして負荷のかかり方を変更してみましょう。

時間は30秒が目安ですが、できるようになったら徐々に増やしていきます。

②バッグブリッジレッグリフト

仰向けになって、片方の足裏をぴったりと地面につけて膝から肩までがまっすぐになるように状態を浮かせ、片方の足をまっすぐと伸ばしていきます。

広背筋と臀部の強化に加えて、ハムストリングスにも負荷がかかり、背面の筋肉をバランスよく鍛えることができます。

初心者はハムストリングスをつりやすいので、行う際は足の状態を入念に確認しながらにしましょう。

左右の脚をバランスよく行うことで、走る際の推進力を生みだしやすくなる効果があります。

左右20秒ずつから始め、できるようになったら30秒ずつに増やしていきます。

③バードドッグ

四つん這いになり、地面と平行になるように左腕を上げて、それと同時に右足を地面と平行になるように上げていきます。

その姿勢を3~5秒キープし、手と足を入れ替えて同じ動作を繰り返し行っていきましょう。

後半になると疲れから身体が歪みやすくなるので、常に地面と平行な状態を作り出すように心がけるのが大切です。

動きの中での体幹部の安定を強化することができ、より走りへとつなげる意識が持てます。

慣れてきたら、浮かせた足の膝と手の肘の部分を引き付けて元に戻す動作を加えるなどして、さらに不安定な状態からブレないようにするメニューへと変更を加えると、より効果が期待できます。

この他にもたくさんの種類の体幹トレーニングがあり、強化できるポイントも多様です。

基本をマスターできたら、自分の弱点を分析して、それを補う体幹トレーニングを探していきましょう!

トレーニングは工夫次第で進化を遂げる!

今回は、VO₂MAXと超回復、そして体幹トレーニングに焦点を絞って解説をしていきました。

基本的なメニューの原理と効果はありますが、それを活かすか殺すかは取り組む人の腕にかかっています。

ある程度の型はありますが、それをうまく変容させて自分のスタイルを築いていくことが自分のレベルアップにもつながり、次のステージへと進む原動力となるのです。

また、持久力というのは生活にも大きく関わってくるもので、怪我や病気のリスクを減らすことにもつながっていきます。

毎日を生き生きと過ごし、楽しい人生を送るためにも、常に自分の身体と向き合って継続したトレーニングを行っていく習慣を身につけていきましょう!

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