室内でできるダンベル・トレーニングと肩こり解消の方法

昨今の情勢もあり、室内で行える手軽な運動として筋力トレーニングが人気を集めています。

特にダンベルを使ったトレーニングはその手軽さで、初心者からベテランまで広く支持されています。

しかし実はダンベルほど扱いが難しく、かつ効果の高いトレーニング器具は他にありません。

上手く使いこなせば外見がカッコ良くなるだけでなく動ける身体、つまり体力のある身体を手に入れることも可能です。

本稿では室内でもできる体力向上に有効なダンベル・トレーニングの方法と弊害となり得る肩こりの解消方法を紹介していきます。

トレーニング自体も大事ですが、ベストなコンディションで行うことではじめて身になるということを忘れないようにしましょう!

体力とはなにか

上記で体力作りのためのダンベル・トレーニングと言いましたが、体力という言葉から何を想像するでしょうか。

・ マラソンを走る能力でしょうか?

・ 病気から回復する力でしょうか?

・ バーベルを持ち上げる腕力でしょうか?

実は全てが「体力」です。

体力というのは、体力要素から成ります。

体力要素とはなにか

体力要素は身体的要素と精神的要素に分かれ、さらに行動体力と防衛体力とに分類されます。

a 身体的要素

① 行動体力・・・体格、体型、姿勢、パワー、筋力、持久力、敏捷性、柔軟性

② 防衛体力・・・病気への抵抗力、器官組織の構造

b 精神的要素

① 行動体力・・・意志、判断、意欲

② 防衛体力・・・精神的ストレスへの抵抗力

体力というのはこれらの総体です。

ということは特定の要素だけ突出して強くても、体力があるとは言えないわけです。

筋力が強くて持久力もあり、柔軟性もあって風邪もひきにくい。

そんな全部入りの身体こそ体力のある身体だと言えます。

そのためには淡々と筋肉を動かすだけでなく、息を上げるような種目も必要になります。

こちらは後述する実践方法の紹介の中で、改めて解説を加えていきます。

ダンベル・トレーニングがもたらすメリット

自宅で体力づくりを進めていくうえで大きな味方になってくれるのがダンベルです。

ダンベルがもたらす多くのメリットを紹介していきましょう。

ダンベル一つで自宅がジムになる!

適切な筋力トレーニングによって作られたアスリートのような筋肉質の外見は自己管理能力や意志、若さ、強さといったポジティブなイメージを周囲に与えます。

男性であれば厚い胸板と広い肩幅。女性であれば、引き締まったボディライン。

現在多くの人がそうしたカッコ良いスタイルを夢見てジムに通っています。

しかし、これらはわざわざジムに行かずとも自宅でダンベルを使ったトレーニングだけで十分に実現できます。

人目や器具の順番待ちを気にせず、存分に鍛え込めるのも自宅トレーニングの魅力です。

自重トレーニングとは比べ物にならない自由度がある!

腕立て伏せやスクワットといった自分の体重を負荷にした自重トレーニング。

身体1つで行える簡単さが魅力である反面、細かな負荷設定が難しいという欠点があります。

例えば自分の体重が、背中を鍛えるには十分な負荷であったとしても、脚を鍛えるには物足りないし腕を鍛えるには重すぎる、というようになかなか上手くいかないものです。

その点、ダンベルは重量の調整幅の自由度が高く、適切な負荷が設定できる点が魅力です。

トレーニングが上手くなる!

ジムにはさまざまなトレーニングマシンが用意されています。

トレーニングマシンは補助輪付きの自転車のようなものです。

シートに座ってハンドルを握り、押したり引いたりする以外のことはマシンがやってくれます。

途中で重りを扱えなくなっても、重りの下敷きになったりすることはまずありません。

それに対してダンベルは一輪車のようなものです。

自分でバランスを取りながらダンベルの軌道をコントロールしなければならないのです。

失敗すると効果がないばかりか、自分の頭の上にダンベルが降ってきて怪我をすることさえあり得ます。

ダンベル任せではトレーニングにならない点がダンベル・トレーニングの難しさ。

しかし、ダンベルをコントロールできるようになると、マシンもバーベルも自分の狙い通りに使いこなせるようになります。

どんなダンベルを選べば良いか

ダンベルには

・重量固定式ダンベル(セットダンベル)

・重量可変式ダンベル(アジャスタブルダンベル)

の2種類があります。

重量固定式ダンベルはジムの棚にガラリと並んでいるようなタイプです(下記写真)。

1kgなら1kg、5kgなら5kgというように、重量が固定されて変えられないものを指します。

置く場所さえあれば、重量付け替えの手間がかからないので楽です。

一方、重量可変式とは持ち手の棒(ダンベルシャフトといいます)に重り(ウェイトプレート)を足していくタイプです(下記写真)。

2.5kgのウェイトプレートを1kgのダンベルシャフト両端に付けると6kgになる、というように重量変更ができます。

自宅用であれば、アジャスタブルダンベルの方が安価なうえ場所を取らないのでおすすめです。

男性であれば最大30kg(1個あたり)まで重量を増やせるものを、女性であれば最大20kg(〃)まで増やせるものが適しています。

またベンチもあると、トレーニング・バリエーションが増えて便利です。

トレーニングを始める前に

大事な注意点がいくつかあります。

ダンベルは丁寧に扱いましょう

投げ落とすような扱いをすると床もダンベルも傷みます。丁寧に扱いましょう。

ウォームアップを必ず行いましょう

軽く体操するなどして全身を温めておきましょう。ウォームアップしながらその日の体調を探ります。

もし体調が優れない場合はトレーニングを中止してください。無理をすると怪我の元となります。

留め具をしっかり留めましょう

ダンベルシャフトとウェイトプレートを固定する留め具(カラーといいます)は、セット毎に緩みがないか確認しましょう。

カラーの緩みは事故につながります。

限界の2歩手前でやめましょう

筆者は長年の自宅トレーニング歴の中で何度か事故を起こしています。

・ 高重量ダンベルを落として和室の床が抜けた

・ ダンベルを落とすまいと我慢して大胸筋を断裂した(2回)

等々、広さや床の強度が十分でなく助けてくれるトレーナーもいない自宅トレーニングでの失敗は高く付きます。

無理をせず、少し余裕をもって切り上げる癖を付けましょう。

周りを片付けてから始めましょう

足元に何か転がっていると、転倒したり足を切ったりする恐れがあります。周りを片付けてからトレーニングを始めてください。

床を傷つけないようマットで保護するのもおすすめです。

ただしホームセンターにあるようなラバーマットは臭気が強いものが多いので、床に敷き詰めて使うのはおすすめしません。

スポーツ用のジョイントマットを選びましょう。

また蛍光灯のペンダントの真下ではダンベルが当たる可能性があるので行わないでください。お子さんやペットも近付けないように配慮しましょう。

集中して短時間で行いましょう

自宅トレーニングを成功させる最大の鍵は集中力です。

自宅でトレーニングモードに入るのはベテランでも苦労するもの。

トレーニング中はスマートフォンを覗いたり、見学に来た猫と話しこんだりせず集中して行いましょう!

ダンベル・トレーニングのプログラム

始める前に基本ルールの確認です。

・全種目、セット間のインターバルは60~90秒とします。休み過ぎないことが大切です。回復力も強化しましょう。

・フォームを崩さない範囲で頑張ってあげられる重さで実施しましょう。楽に挙がる重さではトレーニングになりません。

さあ、頑張りましょう!

①プルオーバー(8~12回を3~5セット)

・向上する体力要素・・・体格、筋力、肩の柔軟性、精神的ストレスへの抵抗力

・鍛えられる部位・・・大胸筋、広背筋、上腕三頭筋、腹直筋、前鋸筋

上半身をまとめて鍛えられる素晴らしい種目です。

肩の柔軟性と安定性を高めます。

そしてストレスの影響を強く受けやすい身体前面の筋群をしっかりストレッチできるため、リラックス効果まであります。

動画のような台(ベンチといいます)がなければ、床に寝て行っても構いません。

②ベントオーバー・ローイング(8~12回を3~5セット)

・向上する体力要素・・・姿勢、筋力、股関節(ハムストリング)の柔軟性

・鍛えられる部位・・・広背筋、菱形筋、僧帽筋、脊柱起立筋

背中を鍛える種目です。動画より膝を気持ち伸ばし気味のまま前傾姿勢を取ると、ハムストリング(太腿の裏)の柔軟性向上も狙えます。

ダンベルは垂直に引き上げるというより、腰の方に上げていくイメージで行うと僧帽筋上部の緊張を避けつつ広背筋を強く刺激できます。

③レネゲード・ロー(12回を3~5セット)

・向上する体力要素・・・体格、筋力、姿勢、柔軟性、持久性

・鍛えられる部位・・・広背筋、菱形筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋

こちらも背中を鍛える種目です。

動画のように引くだけでなく、腕立て伏せと組み合わせて行いましょう。その方が上半身をより効果的かつ効率良く刺激できます。

腕立て伏せ1回→右のローイング1回→腕立て伏せ1回→左のローイング1回、と進めます。

上半身をしっかりと完全疲労(オールアウトと言います)させて仕上げましょう。

④ジャンプスクワット(20回を3~5セット)

・向上する体力要素・・・姿勢、パワー、持久性、免疫、敏捷性、意志、意欲

・鍛えられる部位・・・全身

脚のような大きな部位に強い負荷をかけたトレーニングは、男性ホルモン(筋肉を増やす、意志や意欲を高める)や成長ホルモン(筋肉を増やし脂肪を落とす)の分泌を強く促します。

しかし、ダンベルで普通のスクワットを行っても十分な負荷になりません。

そこを補うのが、このジャンプスクワットです。

ジャンプ動作では普通に立ち上がる動作の数倍もの力が発揮されます。普通に立つよりトレーニング効果が遥かに高いのです。

また着地の際、衝撃を吸収しつつ深くしゃがむ動作は筋肉に成長のためのストレスをしっかりと与えてくれます。

腰痛を避けるため、背中は常に真っ直ぐ保って行うようにしましょう。腰を丸めないように注意します。

また持久力向上を特に狙う場合、20秒間のジャンプスクワット+10秒間のインターバルを連続して8セット行うタバタ・プロトコルで行うのも良いでしょう。

⑤ダンベル・スナッチ(左右5回ずつ×3~5セット)

・向上する体力要素・・・姿勢、パワー、平衡性、敏捷性、意志、意欲

・鍛えられる部位・・・全身

① 床に置いたダンベルを片手で握り、腰を深く落として構えます。

② 背中はまっすぐに。アゴを気持ち上げ、目線は水平より上にやるようにします。

③ 引き始めからダンベルが腰の高さに近づくまでは、上半身の前傾姿勢を保ったまま変えないようにします。

④ ダンベルが腰の高さに届いたと同時に全力でジャンプし、頭上にダンベルを押し挙げます。

全身を総合的に鍛えられるという意味で、このダンベル・スナッチはダンベルトレーニングの中で最強の種目と言えるでしょう。

ベンチプレスやカールなど、よくあるボディメイク系種目では望めないパワー、スピード、協調性、平衡性などの能力が高められるので効果的です。

なおアメリカには、このダンベルスナッチを用いた競技があります。

 

上の動画のように、男性は約50kg、女性は約30kgのダンベルを使って、左右合計20回を持ち上げる時間を競っています。

肩こりの謎~肩がこる身体と、肩がこらない身体~

ここからは室内トレーニングをスマートに行うためにも、弊害として良く挙げられる「肩こり」についてのお話です。

筆者はフリーのトレーナーとしてさまざまなアスリートにトレーニング指導を行っています。

また整体院に勤務する整体師でもあります。

競技の現場で触るアスリートの身体と、整体院で触る患者さんの身体。

両者の筋肉は驚くほどにまったくの別物です。

肩こりの解消法に触れていく前に一般人とアスリートの身体の違いについて掘り下げていきましょう。

アスリートの身体の特徴

・姿勢が良い

・筋肉が柔らかく厚みがある

・触れると温かい

・固い部位も揉むと容易にほぐれる

整体院の患者さんの身体の特徴

・姿勢が悪い

・筋肉が固く厚みがない

・触れると冷たい

・ほぐすのに時間がかかる

つらい肩こりに悩まされて整体院に通い続ける患者さんは多くいらっしゃいますが、アスリートから肩こりの相談を受けたことは一度もありません。

どうやら肩こりをなくすヒントは、アスリートの身体から探ることができそうです。

なぜ「肩がこる」のか

姿勢の問題

厚生労働省の「国民生活基礎調査2016年」によれば、日本人の4人に1人が肩こりに悩んでいます。

肩こりは、頭を支える筋肉に慢性的な負担をかけすぎた結果、首~肩まわりの筋肉に痛みや張りを感じるようになった状態です。

私たちの頭の重さは約5kgもあります。

そんな重い頭も、良い姿勢で上手にバランスを保っておけば筋肉や関節に負担をかけずに支えられます。

ところが猫背で長時間デスクワークをしたり、暇があればスマートフォンを覗き込んだりと、悪い姿勢を続けてしまうとどうなるでしょうか。

首~肩まわりの小さな筋肉が、重心のズレた重い頭を必死に引っ張って支え続けることになるのです。

毎日毎日重い頭を引っ張り続けるうちに、筋肉は疲れ果てて動けなくなります。

そしてこりや痛みという形でSOSを発するようになります。

心当たりはないでしょうか。

「重い頭は、身体の重心の真上に乗せておく」

残念ながら私が整体院で診ている肩こりの患者さんの大部分は、このバランスを守れない身体になっています。

施術だけでは一時的な緩和にしかならず、またすぐつらい状態に戻ってしまうのです。

もちろん整体院でも日頃の姿勢管理やトレーニングを指示しますが、実践してくれる患者さんは稀です。

ダイエットと同じで、現状の生活スタイルを変えたくない人が多いのかもしれません。

良い姿勢とはなにか

まずアスリートは立ち姿から違います。

頭からくるぶしまで一本の棒をすっと入れたようにまっすぐ立つことができるのです。

決して筋肉の力で身体を立てているのでなく、関節のバランスの上に彼ら(彼女ら)は立ちます。

立ち姿勢に力みが入ると脱力が上手く行かず、自由に速く身体を動かすことができないからです。

その意味で、筆者がもっとも素晴らしい姿勢の持ち主と考えるのはバレエダンサーです。

写真の男性バレエダンサーの姿勢を見てください。

耳(耳垂)・肩(肩峰)・股関節(大転子)・踝の4点を一直線に揃えた状態で右腕を高々とあげています。

そのうえ左手で跳ぶ女性の動きを支えるため、体幹を力強く安定させています。

正しい頭の位置と柔らかい肩があって、初めて背筋を伸ばし右手を上に伸ばす姿勢が取れるのです。

彼らに肩こりなど無縁でしょう。

こうした良い姿勢は、トレーニングによって獲得することができます。

肩がこったら揉む、あるいは体操をする、というのでなく肩こりのない身体に作り変えるほうがずっと快適です。

運動不足の影響

肩こりのもう一つの原因、それは運動不足です。

整体院に通う肩こり患者さんたちの身体は一様に固く、冷えています。

施術していると自分の掌から熱が奪われていくのが分かります。

運動不足だと、なぜ固くて冷えた身体になってしまうのでしょうか?

理由の1つ目。

筋肉は体熱を産生する器官です。運動によって筋肉は摩擦熱を生じ、筋肉を通る血液が温められます。

動けば体温が上がるのはこの理由によります。運動が少ないと体温も十分に上がりません。

2つ目。

筋肉は血流のポンプの役割もあります。

筋中を走る血管は、筋肉の運動によって圧迫されたり緩められたりしながら力強く血液を流していき同時に筋肉に溜まった疲労物質も流してくれます。

ところが動かさないままでいる筋肉には疲労物質が滞り、筋肉は固まって動けない「こった」状態になるのです。

3つ目。

運動不足は、筋肉そのものを減らしていってしまいます。

筋肉は多くのエネルギーを使う「大食い」の器官です。

人類は飢餓状態でも種を保存するため「余計な筋肉を持たない」省エネルギー遺伝子を備えています。

よって、使用頻度の低いと見なされた筋肉はさっさと削られていく運命です(廃用性萎縮といいます)。

以上のように動かさないから筋肉が減り、筋肉が減るから血の巡りも悪くなり、血の巡りが悪くなるから冷えてますます固くなるわけです。

時々揉む程度では、ガチガチにこった肩は良くなりません。

肩こりは、全身の姿勢の悪さや運動不足が招いたものです。

よって、肩こりを解消するには

・ストレッチとセルフマッサージで、緩むべき筋肉を緩めて身体を動かしやすくする

・筋トレで、力を入れるべき筋肉にしっかり力を入れられるよう身体に覚えさせる

・良い姿勢を普段から保つ意識を持つ

これらのことはアスリートだけでなく、快適な身体を手に入れたいと願う人にとっても必要なものです。

これから紹介するエクササイズを実践して、血行が良く肩がこらない身体に作り変えていきましょう。

肩こりを解消するエクササイズの実施

では早速、肩こり解消のためのエクササイズを始めましょう。

①姿勢のチェック

最初に姿勢チェックをしましょう。

①壁を背にして立つ

②そのまますり足で後退し、踵が壁に触れたら止まる

③その状態で、後頭部・肩甲骨・臀部が壁に自然に接触するのが「正しい姿勢」

肩こりの人は、後頭部が壁に触れなかったはずです。

肩甲骨まで浮いた人は、肩こりに加えて肩の痛みや背中、腰の痛みもあるのではないでしょうか。

お尻が浮いた人は腰痛もあるはずです。

今日は頭が前に行ってるな、とか猫背になっているな、とイメージを掴んでおきましょう。

②身体の緊張を取り除く

筋肉の余計な緊張をストレッチで取り除いていきましょう。

おすすめはストレッチポールを用いたエクササイズ「ベーシック7」です。

このシンプルな道具を用いたエクササイズは大胸筋や腹直筋・大腰筋といった姿勢悪化につながる筋肉の緊張を効率的に緩めます。

筋トレ前に準備運動として行うときは、あまり時間をかけ過ぎないようにします。

反対に疲労感の強い時は、一通りのエクササイズを終えた後に時間をかけて行うと良いでしょう。

ベーシック7を終えたら、再度①の姿勢チェックを試して変化を確認します。

軽症の腰痛や肩こりは、このエクササイズだけでも大分緩和されることでしょう。

③姿勢を改善するエクササイズ

①チン・タック(アゴを引き頭の位置を修正するエクササイズ)

前に飛び出てしまった頭を、適正な位置に戻すためのエクササイズです。

基本的な動きを覚えたら、床に仰向けになり後頭部で床を押し込む方法を試してみましょう。

回数は7秒間押し続ける×3セットで良いでしょう。息を止めずに行うようにしてください。

②インバーテッド・ロー(猫背、巻き肩を解消するエクササイズ)

斜め懸垂です。姿勢を整える鍵となるのは背中の筋肉です。

動画では脇を締めるように引いていますが、姿勢を良くする目的で行う場合は脇を90度開いて菱形筋を狙うようにします。

腕で引くのでなく、肩を大きく動かして肩で引くようにしましょう。

12~15回×3セットを行います。

③ダンベル・エクスターナルローテーション(猫背、巻き肩を修正するエクササイズ)

胸を張るのが難しいほど猫背の人は、胸を開くための筋肉を鍛える必要があります。

ためしに「気をつけ」をした状態で、親指を外側にねじって掌を前に向けるようにしてみてください。

胸がぐーっと開いて背すじが伸びる感じがあるはずです。

この動きを担う棘下筋・小円筋という筋肉を鍛えるのがこのエクササイズです。

やや重めのペットボトルを2つ用意し、8~12回×3セットを目安に行います。

動画のように直立するより、軽い前傾姿勢を取って行う方が負荷をより効率的にかけられます。

④ダンベル・シュラッグ(肩こりをセルフ・マッサージするエクササイズ)

肩こりが起こる僧帽筋そのものを刺激するのがダンベル・シュラッグです。

筋肉をポンプのように動かして血行を促進し、疲労物質を押し流すイメージで行いましょう。

15~20回×3セットで行います。

⑤ダンベル・プルオーバー(肩を動かしやすくするエクササイズ)

肩の位置を適正化し、肩を動かしやすくします。

また大胸筋と広背筋をストレッチすることで、良い姿勢を作る手助けをしてくれます。

動画では腰を大きく浮かせていますが、肩周りのストレッチ感を重視するため腰は浮かせ過ぎないように注意しましょう。

また肘は軽く曲げた状態で固定し、動作中腕を曲げ伸ばししないように気をつけるようにしてください。

反動を使わずゆっくり行います。深呼吸しながら8~12回×3セットです。

⑥ニー・トゥー・チェスト(大腰筋のトレーニング)

動画では腹筋と説明されていますが、大腰筋という筋肉も鍛えられます。

大腰筋は体幹と下肢をつなぐ長い筋肉であり、これが強い短縮状態にあると猫背を強め、弱いと姿勢を歪めます。

しっかり動かして、伸び縮みしやすいコンディションに整えておくことが必要です。

両足同時に行う方法もあります。反動を使わず15~20回を3セット行いましょう。

⑦ミリタリー・プレス

頭上にバーベルを押しあげるミリタリー・プレス。

適切な頭の位置、肩の柔軟性、体幹の強さなど、正しい姿勢の条件を満たさないとスムーズな動作が行えません。

バーベル代わりに適当な棒を使って、動画のように鎖骨から頭上まですっとあげられるかチェックしてみましょう。

頭上に差しあげたとき腕が耳より前に行ったり、腰が反ったりする時は①~⑥のエクササイズをやり込んでみてください。

姿勢を改善するエクササイズへの補足説明

上記に紹介した7つのエクササイズのうち、どれが一番大事かと質問されることがあります。

原則として1つのエクササイズに期待できる効果は1つです。

これさえやればOK的な万能種目は残念ながらありません。

一通り試してみてください。

そのほか、

・息を止めない

・ゆっくり目のテンポで大きく動作する

・痛みが感じられる種目はやらない

・周囲の安全に気を配る

・できれば自身の動きを撮影して、動きをチェックしてみる

などを意識して進めていきましょう。

首と肩をほぐすエクササイズ

上の7つのエクササイズで姿勢を整えたら、再度ベーシック7でほぐしておきます。

ベーシック7に加えて、次のようなセルフマッサージを行うと肩こり解消に効果的です。

美しい姿勢を手に入れるエクササイズ

 

これまで悪い姿勢を矯正するエクササイズを紹介してきました。

最後に良い姿勢・美しい姿勢を身体に覚えさせるためにバレエのエクササイズを紹介します。

バレエの基礎練習には即効的に姿勢を改善できる要素が多く含まれています。

一つ紹介しましょう。

①かかとを付けて立つ。つま先を可能な限り外向きに開いて「気をつけ」の姿勢を取る

②そのままぐーっと膝を割るように開きながら腰を落とす

③親指の付け根(拇指球)に体重をのせ、つま先立ちで伸び上がる

④つま先立ちのままかかとを離して足を並行にする

⑤かかとをストン、と下ろす

どうでしょう?

これだけですっと背筋が伸び、不思議と表情も明るくなって前向きな気持ちになりませんか?

おわりに

以上、ダンベルトレーニングにおいてほとんどの体力要素を網羅したプログラム、肩こりの解消法をご紹介しました。体力向上に有効な内容になったと思います。

ぜひ自宅でのトレーニングに役立てください。

さて、トレーニングにおいてもっとも大事なことは創造性です。

身体を驚かせるような新鮮な刺激がないとトレーニングとは言えません。

なぜなら、新しい刺激に適応するために身体が変わっていく現象を引き出すのがトレーニングの役割だからです。

やり慣れてマンネリ化してしまった刺激では身体は変わらないのです。

自宅でひとりダンベルと向かい合う経験は、ジムでさまざまな器具を駆使して行うトレーニングとはまた違った素晴らしい体験をもたらしてくれます。

本稿で紹介した種目は、特に技術的なアレンジの幅が広いものばかり選んでみました。

あなたの家トレをより深く掘り下げるヒントに使ってみてください。

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