近年、日本人の姿勢の悪さが問題視されているのを皆さんはご存知でしょうか?
学校現場では、姿勢が悪いことで子どもたちの落ち着きが悪く、学業や部活動での成績の低迷につながっているという驚きの報告もなされています。
東京都の教育委員会の報告によると、中学生においては姿勢の良い生徒は姿勢の悪い生徒に比べて学校生活に満足していたり、自己効力感が高い傾向にあるそうです。
このように、姿勢は私たちの健康にも大きく関わっていると言えます。
もちろん、これは大人にも当てはまることです。
「原因は分からないが身体がだるい」「何をするにも集中できない」といった悩みは、姿勢の悪さから生じるものかもしれませんね。
そこで今回は、なかなか意識することはないが私たちの健康や能力発揮に関与している姿勢をテーマにしていきます。
良い姿勢、悪い姿勢を知り、毎日の生活で意識づけができるようになりましょう!
押さえておきたい5つの姿勢タイプ
kendallは、人間の姿勢を骨格の傾きや力の入り方から5つのタイプに分類しています。
これは、理学療法などの世界で患者の状態を把握するために用いられるなど、とても重要視されている分類方法です。
まずは、定義されている5つの姿勢タイプの評価基準を学びましょう。
①理想型
姿勢を評価する際に注目する点は、①耳の穴、②腰骨、③大転子、④膝、⑤外踝の2cm前方が一直線上に位置しているかです。
それを全て満たしているのが、図のような姿勢だと言えます。
このような姿勢で立つと、筋の過度な収縮や伸長がなく、どの部分においてもバランスの良い状態が保たれています。
筋のバランスが良いということはそれに関連する腱や骨も本来あるべき場所に位置しているため、運動をしても負担がかかりにくく、怪我をするリスクも軽減できると言えるでしょう。
②後湾ー前弯型
後弯ー前弯型と言われるこの姿勢では、理想型に比べて胸椎が後弯し、腰椎が過度に前弯しています。
その影響もあり、骨盤が前傾しているのがこのタイプの特徴です。
この姿勢では、体重が前方にかかりやすくなるため、バランスをとるために太ももの前の部分に過緊張が起こります。
また頭も前方に傾くため、それを後方に引っ張る首の筋肉が過緊張を起こし、首痛を発症しやすいとも言われています。
③平坦型
本来はなめらかなカーブを描くのが理想的な胸椎。
そのカーブがなくなり、まっすぐに腰椎へとつながるような構造になっているのが平坦型の大きな特徴です。
これにより、骨盤が後ろに引っ張られて後傾してしまい、足が前に出にくくなっています。
また、首、腰、背中、肩などさまざまな部位の衝撃を吸収できずに負担が大きくなるのも平坦型が持つ危険性だと言えるでしょう。
これも全て、胸椎のなめらかなカーブが失われることによって生じるもの。
いかに自然な形を保つことが重要かが分かります。
④後弯ー平坦型
胸椎が後弯し、一直線上から大転子が極端に前方に位置しているのがこのタイプの特徴です。
平坦型同様に骨盤が後傾し足が前に出にくくなっていることに加え、ハムストリングス(下肢後面の筋肉)が過度に収縮しています。
また、身体が前方に投げ出されるような体勢になるのを防ぐため、背中を後方に残すことでバランスを取り、それに対応して首が前方に傾きます。
これにより、背中から首にかけて過緊張が生じ、肩こりを引き起こしたりするのです。
⑤軍人型
このタイプは他の3つの悪い姿勢と呼ばれるものとは少し異なり、良い姿勢と分類されることもあります。
理想型の所で挙げた5つの点を全て一直線で結ぶことができますが、やや骨盤が前傾し腰椎の前弯が見られるのがこのタイプの特徴です。
これは、アスリートに多く見られる姿勢のタイプとも言われています。
身体全体のバランスはそれほど悪くないのですが、身体全体が常に緊張しており、必要以上に胸を張ってしまうのが目についてしまうのです。
以上の5つが、kendallが分類した5つの姿勢タイプです。
自分はどれに当てはまったでしょうか?
姿勢タイプ別の注意点と改善策!
自分の姿勢タイプを分類できた人は、次に自分に合わせた姿勢の改善方法を考えていきましょう。
「骨格は幼少期に決まってしまうのでは・・・」
そんな不安を抱えている人も多いと思いますが、大人になってからでも筋力不足を克服したり拮抗筋(きっこうきん)のバランスを整えることで良い姿勢を取り戻すことができます。
普段の生活で見直す場面も出てきますので、自分に当てはまることがないか考えていきましょう。
「後弯ー前弯型」の注意点と改善ポイント
主に、背骨を支える筋力が不足している子どもや女性に多く見られるタイプです。
それとは別に、肥満によって自分の体重を支えられなくなり、このような姿勢を取ってバランスを取ろうとすることもあります。
この姿勢タイプの人が運動をすると、股関節の屈筋が収縮しているため、走る時に十分に足が伸び切らずパワーを下半身に伝えることができないといった問題が発生することが懸念されます。
また、つま先寄りの重心が問題となり身体の背面が伸ばされて、抗重力筋が十分に機能しないことにつながってしまうのです。
この姿勢タイプの人は、背中を中心とした背面の筋肉、特に脊柱起立筋群を中心にトレーニングすると良い姿勢への改善が期待できます。
☆脊柱起立筋群とは?
脊柱起立筋群は、背中にある筋肉、腸肋筋、最長筋、棘筋の総称です。
この筋が背中を後方に位置させようと働くため、この部分の筋力が弱いと背中が丸まります。
日本人はこの筋が十分に使えていない人が多く、いわゆる「猫背」が非常に多いです。
腹筋には意識が向きやすいですが、背筋はないがしろにされているのが現状だと言えるでしょう。
〇脊柱起立筋群を鍛えるトレーニング
脊柱起立筋群を鍛える上でもっともポピュラーなのが、バックエクステンションです。
うつぶせの状態で寝っ転がり、手を頭の上に添えてその状態で胸と脚を同時に浮かせて身体を反らせます。
十分に反らしたら、その状態を3~5秒キープして、また最初の姿勢に戻りましょう。
この時、戻った姿勢でも胸を地面に付けず少しだけ浮かせておくことが重要です。
また、反らす際に反動を使わずに自分の力で反らしていくことも、効果的な刺激を与えるために必要になります。
10~20回を1セットとし、2~3セットを自分の体力に合わせて行いましょう。
ウエイトトレーニング系のメニューを好む方ならば、おすすめできるのはデッドリフトです。
バーベルを脛に触れるギリギリのところに置き、足を肩幅より少し開いてまっすぐ立ちます。
両膝を軽く曲げて、肩幅よりも少し広い手幅でバーベルを持ち、背筋を伸ばし腰は反らせたまま両肘を伸ばしていきましょう。
膝が伸び切る位置に来て、直立したら肩甲骨を内側に引き寄せてその状態を3秒ほどキープします。
キープ後、ゆっくりとバーベルを元の場所に戻して1回が終了です。
これを10回、正しいフォームで行うことを目標にしましょう。
バーベルの重さも、10回を少しきついと感じる程度でやりきることができる負荷が最適です。
「平坦型」の注意点と改善ポイント
このタイプの人は、腰や肩、背中などさまざまな部位に不安を感じていることが多いと思います。
その原因は、胸椎と腰椎のなめらかなカーブが失われていることが原因です。
つまり、この箇所を鍛えてあげると、自然なカーブが戻ってきて各部位の負担を軽減することができます。
胸椎のカーブを取り戻す方法については先ほどの「後弯ー前弯型」と重なる部分が多いため、省略します。
腰椎のなめらかなカーブを取り戻すのに有効なのは、腸腰筋のトレーニングです。
☆腸腰筋とは?
腸腰筋は、上肢と下肢を繋ぐ大腰筋と腸肋筋、小腰筋の総称です。
主に大腰筋と腸肋筋が体幹の安定に関係しており、これらの筋が作用して上肢と下肢のバランスを取っています。
スポーツ選手などが腸腰筋を重視するのも、走る際に身体がブレるのを最小限に抑えるためです。
この部分が強化されれば、身体のゆがみが抑えられて上半身の体勢の変化でバランスを取ることも少なくなります。
☆腸腰筋を鍛えるトレーニング
腸腰筋のトレーニングでもっとも親しみがあるのは、バイシクルクランチです。
仰向けになった状態で寝っ転がり、膝を90°に曲げて軽く持ち上げます。
腹筋を意識して頭と肩を浮かせ、手を頭の後ろに軽く添えて左膝を胸に引き寄せながら右肘をまっすぐ前に伸ばし、脇腹をひねって右肘と左膝を近づけましょう。
この動作を左右反対のペアでも行い、各10回行うことを目標にします。
ポイントは常に腹筋周りに力を入れておくこと。
お腹をへこませて、肘と膝を近づけるときは腹筋を絞るイメージを持ちましょう。
筋トレに苦手意識がある人は、ウォーキングやランニングに取り組み腸肋筋を鍛えましょう。
何も意識せずに歩くのではなく、背筋を伸ばし身体を大きく動かすことが大切です。
以下のサイトでもより深くウォーキング・ランニングの方法を解説していますので、要チェックです。
「後弯ー平坦型」の注意点とポイント
このタイプがもっとも重視したいのが、股関節と臀部の筋肉です。
前方に投げ出されるような形になっているのは、これらの筋がうまく機能せず、身体が揺らいでいることが原因と考えられます。
また、このタイプは椅子の座り方も姿勢の変化に大きく関与していると言われています。
足を前方に投げ出し、お尻が椅子から落ちそうになるぐらいまで前に移動し、背もたれに寝そべるような姿勢で座ってしまう方はいないでしょうか?
このような座った姿勢がそのまま立った時の姿勢にも反映されて、頭が前に出てしまいます。
眼精疲労を起こしやすいのもこの姿勢タイプの特徴なので、心当たりがある人はまず椅子への座り方から見直してみましょう。
☆大殿筋の鍛え方
このタイプの人は、お尻を鍛えることで良い姿勢に近づくことができます。
中でも、大殿筋は臀部の中でも最も大きな筋であり、ダッシュやジャンプなどの運動の際に大きな役割を担います。
「後弯ー平坦型」の人は隠れ猫背と言われることもあり、全体の筋を連動させた運動を苦手とする傾向もあるため、大殿筋を鍛えてダイナミックな動きを可能にしましょう。
定番なのが、みなさんもご存知のスクワットです。
肩幅ぐらいに足を開いて立ち、つま先はやや外側を向けます。
背筋を伸ばして、息を吸いながら地面と膝が平行になるまで膝を曲げていきましょう。
この時、膝がつま先より前に出ないようにします。
曲げ終わったら、膝をゆっくりと伸び切らない程度の位置まで伸ばして1回が終了です。
反動をつけたくなりますが、正しいフォームを守り切りましょう。
最初は10回を2セット、慣れたら20回を3セットを目安に取り組みましょう。
また、基本の体幹トレーニングであるプランクも大殿筋のトレーニングとして効果的です。
うつぶせになり、肘を肩の真下かやや狭い位置に置きます。
両肘と両つま先で支えるように身体を持ち上げて、そのままの体勢をキープしましょう。
この時、お尻の穴をキュッと締めるようにすると、全身に力が加わってより効果の高いトレーニングとなります。
呼吸を止めずに取り組み、最初は30秒を2セット、慣れたら1分3セットを目標に取り組みましょう。
以上のように、姿勢タイプによっても鍛えるべき部位の優先度は異なってきます。
なお、「軍人型」については今回は良い姿勢として扱うため、詳しい改善策は提示していません。
姿勢の悪さが原因?「浮き指」
ここで姿勢の悪さが招く、重要な問題について触れていきます。
2019年、NHKのとある番組で特集されたあるテーマがひそかな話題を呼びました。
それが、今回取り上げる「浮き指」です。
現代日本人の多くが抱える問題であり、健康に悪影響を及ぼす可能性があるとして研究も行われています。
そんな浮き指ですが、実は皆さんの走る動作を中心とした運動能力にも大きく関連しています。
そして、ほとんどの人が気付かずに見過ごしている問題でもあるのです。
そこで今回は、浮き指とはどんなものか、そしてどのような問題が生じるのかを中心に解説をしていきます。
自分の事として考え、当てはまることがないかをチェックしていきましょう!
そもそも浮き指ってなに?
まずは、浮き指とはなにか、基本的なことを学んでいきましょう。
漢字からイメージできるように、浮き指とは足の指が地面から浮いた状態のことを言います。
本来、人間が立位姿勢を取る時の足の裏は、かかと、母指球と小指球、そして指の3点がぴったりと接地しています。
しかし、これが何らかの原因で指が地面から浮いてしまう人が現在続出しているため、問題になっているのです。
統計では、足の指が1本以上浮いている人の割合は、男性では約6割、女性ではなんと約8割にのぼると言われています。
皆さんも当てはまる可能性が高いですね。
では、浮き指になるとどのような問題が起こるのでしょうか?
問題① 首や腰への負担増
本来は先ほど挙げた3点で身体を支えている足裏ですが、指が浮くことで2点しか設置していない状態が生まれます。
すると、身体の重心は後ろ側に移動し、不安定な状態となります。
そこで、前へと重心を移動させようと無意識のうちに上半身が前に傾き、首や腰の筋が突っ張った状態が常態化してしまうのです。
見た目的には猫背のような姿勢となり、ひどい人では直立できていないように見られてしまう方もいるでしょう。
問題② 歩行時の膝への負担増
立位では首や腰への負担が大きくなることに加えて、歩行時にはさらに膝への衝撃が増します。
歩行時は足裏からの衝撃を接地面を増やすことで分散させていますが、浮き指があると接地面が少なくなるので力を逃がすことが難しくなるのです。
浮き指がない人とある人を比較した実験では、浮き指がある人はない人に比べて1歩ごとに約3kgも余計な衝撃を膝に与えていると報告されました。
これでは、膝を痛めてしまうのも当然と考えられるでしょう。
問題③ 転倒の危険性増
足裏の接地面が少なくなり不安定な状態が生まれるということは、おのずと歩行時の転倒の危険性も高くなります。
特に中高齢者の場合、浮き指があると筋力の衰えと組み合わさってケガのリスクが大幅に増加してしまうことになり、大変危険です。
若いうちに身についた身体的な特徴は意識しないと改善することができません。
意外なところに私たちの生活を脅かす危険が潜んでいたことが分かったと思います。
今挙げた3つが主な浮き指の問題点です。
浮き指については未だ研究段階にあるため、他にも私たちへの悪影響があるかもしれませんが、これだけでも十分に浮き指の恐ろしさが伝わったと思います。
これが日本人の半分以上が抱えている問題となれば、すぐに改善するための方策を練る必要があると言えるでしょう。
あなたは浮き指?チェックする方法
では、浮き指かそうでないかを判断するためにはどうすれば良いでしょうか?
一番正確なのは、足底圧測定器を使用することです。
シューズショップなどに置いてあることも多く、マットのようなものの上に立つだけで足裏の部位ごとでどのくらい地面に圧がかかっているのかを色で教えてくれます。
⇓このような形で表示されます。(浮き指の例)
最近では無料で測定を行い、その結果をもとにアドバイスしてくれるスポーツ店なども増えているようです。
しかし、正確である分、手軽さという点では足底圧測定器は劣ります。
機材も高価ですし、家庭に置いておくのには向いていないと言えるでしょう。
そこで、代わりに簡単に浮き指かどうかのチェックを行う方法があります。
それが、紙を使った浮き指チェックです。
地面が平らでデコボコしていない場所に立ち、誰かにコピー用紙ぐらいの薄さの紙を地面と指の間に入れてもらいます。
きちんと指が地面についていれば紙は間に入らずにつっかえますが、浮き指があるとスムーズに間に挟まってしまいます。
どの部分にどれくらい圧がかかっているといった細かい点は分かりませんが、浮き指の有無を知ることができる簡単な方法なので、皆さんも実践してみましょう。
浮き指の原因は?
では、いったい浮き指の原因は何なのでしょうか?
代表的なものをいくつか取り上げてみましょう。
原因① サイズが合っていない靴を履くこと
浮き指の原因と考えられるものでもっとも疑われているのが、サイズが合っていない靴を履くことです。
日本人は家にあがる時に靴を脱ぐ習慣があるため、スムーズに脱ぎ履きができるように少し大きめのシューズを履きがちだと言われています。
確かにこれで靴の着脱のストレスは軽減できますが、肝心の歩行の際、「靴の中で足が動いてしまう」という大きな問題が生まれてしまいます。
これでは安定した接地を得られず、私たちの身体に余分な衝撃が加わってしまうことになります。
そこで、足が動くのを防ぐために無意識のうちに指が上がりズレを修正しようとするのです。
これが常態化すると、足の甲の筋が固くなり、常に上を向いた状態ができ上がります。
上記の理由から靴を選び直す必要がありそうです。
ランナーの方はこちらもチェック!
正しいシューズ選びのポイントは?
浮き指を防ぐために、正しいシューズ選びのポイントを知りましょう。
浮き指だけでなく、運動を行うのであればその他の怪我のリスク軽減にも繋がります。
全ての人が押さえておきたい事項です。
☆ポイント① 足の甲の余裕度をチェック!
足の甲とシューズの間に、人差し指と中指を入れてみましょう。
ここに隙間があって指がすんなりと入るようであれば、大きなサイズのシューズを履いていることになります。
指が入らない程度のものを選ぶと、シューズ縦方向のズレがなくなり、フィット感を得ることができるでしょう。
☆ポイント② つま先の余裕度をチェック!
かかとをシューズに合わせた状態で、つま先の部分を指で押してみましょう。
その時、指とシューズの間に1~1.5cmの隙間があることが理想的です。
これ以上だとブカブカなシューズを履いている状態となり、足が靴の中で動き、浮き指へとつながってしまいます。
反対に、指がシューズに当たっているのも良くありません。
これでは指先への衝撃が大きくなり、怪我をすることに加えて、慢性的な衝撃で指の形が変形してしまうこともあります。
指と指の間が狭くなるのが典型的な例で、これでは足が縦長になり過ぎて横方向への安定性が低下してしまいます。
これは女性が履くピンヒールでも同様の問題を誘発する可能性が高く、長時間履くことはできるだけ避けましょう。
原因② 足裏のアーチ構造の乱れ
足の裏は、縦アーチと横アーチで構成されています。
このような構造になっていることで土踏まずを形成し、地面からの衝撃を上手く逃がして膝や股関節、さらには腰への衝撃を軽減しているのです。
しかし、アーチが落ちて偏平足になったり、反対にアーチが高すぎるハイアーチの状態になると、足裏への衝撃がうまく逃げません。
特に、偏平足は足底筋膜への衝撃が大きく、長時間負担がかかると足底筋膜炎を発症することがあります。
足底筋膜には神経が多く通っているため、悪化すると日常生活にも支障をきたすレベルです。
偏平足だと、構造上土踏まずがなくなるため、図のような形になり浮き指が生まれてしまいます。
では、なぜ偏平足になってしまうのでしょうか?
その原因は、前脛骨筋や後脛骨筋、長趾屈筋や長趾伸筋などの部位にあります。
これらの箇所が過度に収縮していたり伸長していたりすることで正常なアーチを保てなくなってしまうのです。
浮き指の原因の元をたどると、下肢全体への問題と関連していることが分かりました。
私たちの身体のバランスの悪さが、深刻な問題を生み出していたことはどうやら明らかなようです。
浮き指を改善する方法!
浮き指が生み出す問題、その原因がわかったところで、ここからは改善する方法について考えていきましょう。
自分に合ったサイズのシューズを履くこと以外にも、浮指の改善につながる方法は多々あります。
毎日実践できるものばかりですので、習慣化を目指しましょう!
①ひろのば体操
理学療法士の方が浮き指の改善策として勧めている方法です。
テレビ番組でも紹介され、大きな反響を呼びました。
①最初に椅子に腰かけ、ほぐしていく足を反対の足の太ももの上に置く
②次に、手の指を1本ずつ足の指の間に入れて、手を軽く握る
③握ったら、甲の方へゆっくりと指を軽く曲げて、その状態を5秒間キープ
④5秒キープできたら、今度は反対方向へゆっくりと指を曲げて、同じく5秒間キープ
これを、1日1回、1往復ずつ行うことを目標にします。
凝り固まっていた足の甲の筋をほぐし、浮き指の改善へとつながります。
②タオルギャザー
足裏のアーチを正常化させるために有効な方法として、もっともポピュラーなのがタオルギャザーです。
前脛骨筋や後脛骨筋、長母指屈筋や長趾屈筋といった筋を鍛えることができ、さらには足底部全体の強調した動きの獲得にも効果があると言われ、足裏を使う感覚を掴むことができます。
①椅子に浅く腰かけ、膝を90°に曲げて指の所にタオルを敷く
②指をタオルの上に乗せたら、かかとを固定して床に広げたタオルを手繰り寄せるように意識
③十分に手繰り寄せたら、今度はかかとを地面につけたまま持ち上げ、5秒間キープ
④その後、指を開いてタオルを離したら、その状態をまた5秒間キープして元の位置に戻る
これを、20回程度毎日続けることができれば、足裏のアーチも正常なものに近付きます。
また、足裏を使う感覚が身に付けば膝や腰への負担も軽減されるため、楽に運動をすることができるようになるでしょう
浮き指の改善以外にも、さまざまな効果が期待できるためおすすめです。
③足指サポーターの装着
市販されている足指サポーターを利用するのも浮き指の改善につながります。
足指サポーターとは、写真のような物を指します。
指と指の間を広げて、地面との接地面を増やしてくれるため、足の指を使って歩く感覚を掴むのに有効です。
浮き指がひどく、普段から足腰の痛みに悩まされている人は、できるだけ着用しておくとかなりの効果が期待できるでしょう。
また、これと関連して鼻緒のある草履を履くこともおすすめです。
鼻緒の部分に力を入れて地面を掴もうとするため、通常のスリッパよりも足裏全体を使うことができます。
しかし、これらは長時間の使用で痛みを伴う場合もありますので、自分の状態と相談しながら着用を考えましょう。
まとめ
今回は、「姿勢タイプと注意点、そして改善策となるトレーニング」、姿勢の悪さが招く「浮き指」について解説していきました。
私たちがあまり意識することのない姿勢ですが、注意深く観察すると実に奥が深いことが分かります。
しかし、残念ながら一般的にその重要性が認知されていないのが現状です。
私たちの生活のスタートポジションともいえる姿勢。
体調を左右する重要な要素の一つであることを自覚し、身体の歪みを無くせるように気を配ることを忘れないようにしましょう。
良い姿勢が当たり前になった時、その恩恵を味わうことができるはずです。