ランニング愛好家が口を揃えて言うセリフがあります。
「走るのは気持ちいいから辞められない!」
運動嫌いな人からすればにわかに信じがたい感想と思われるでしょう。
しかし、多くの人がランニングの魅力に取りつかれているように、走ることが我々に与える正の影響は大きいのです。
今回は、ランニングで得ることができる高揚感や達成感、そしてそれらが身体にもたらす利点についてを考えていきます。
ランニングにあまり縁の無かった人もきっと走り出したくなる、そんなワクワクする情報をお届け!
気分の高鳴りを引き起こす3つの物質
ランナーたちがなぜ生き生きとした表情を見せるのか?
その背景には、ランニング中に分泌される物質が関係していると言われています。
どれも気分を高揚させるもので、明るく前向きな感情表現に欠かせないものです。
代表的なものを3つ、ご紹介します。
①ドーパミン
別名「やる気の分子」とも呼ばれるドーパミン。
人間の三大神経伝達物質の1つであり、意欲的な活動には欠かせません。
ドーパミンが分泌されることによって、人間はワクワクした感情を得て、目的に向かってさらに意欲的に取り組むことができるようになるのです。
ランニング中は、ゴールに向かって走ります。
目的がはっきりと定まり、そこに向かって能動的に走る行為がまさしくドーパミンを分泌させる条件を満たしています。
そして、ドーパミンの分泌で気分が高まれば、効率よくその感情を得ようとして集中力が増し、さらに意欲的になるという好循環が生まれるのです。
②セロトニン
「幸せホルモン」ともいわれるセロトニン。
不足すると気分が落ち込み、うつ病の発症に大きく関わると言われているホルモンです。
このセロトニンは食事によってトリプトファンと呼ばれる栄養素を取り入れることで合成されますが、その他にも規則的なリズム運動によって分泌が促されます。
ランニングの際も、一定のペースでリズムよく走ることが大切だと言えるでしょう。
また、セロトニンは精神的な部分に影響を与えるだけでなく、腸の活動を促進させる効果もあります。
腸の物質を肛門まで運ぶ蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、すっきりとしたお腹で便秘の解消も期待できるのです。
さらにそれだけではありません。
セロトニンは運動神経を刺激するため、立位を保持するための抗重力筋が緊張して、きれいな姿勢の保持にもつながります。
背筋も伸びて、気持ちの良い生活を送れそうですね!
③エンドルフィン
「脳内麻薬」と呼ばれることもあるエンドルフィン。
鎮痛作用が強く、同じような効果を持つモルヒネの6.5倍もの強さを持っていると言われています。
また、免疫を強化する作用も持っているため、病気に負けない身体作りにも貢献してくれます。
心肺機能を高める運動によって分泌量が増えることが分かっており、軽めのランニングなどは最適です。
ランナーズハイの正体はエンドルフィン!
長時間ランニングを続けていると、ふとした瞬間にどこまででも走り続けることができそうな感覚が現れることがあります。
「ランナーズハイ」と呼ばれる現象ですが、自分が無敵だと思える時間帯もエンドルフィンの作用によって作り出されているのです。
エンドルフィンの分泌を高める条件として、「苦痛」があります。
走っていると息が上がって苦しくなったり、身体がダメージを受けることで負の感情が生まれやすく、その状態を打ち消すためにエンドルフィンが多く分泌され、結果として気持ち良い感情が大きくなるのです。
ランナーズハイの効果を持続させるには、気持ち良い段階に達したら無理にペースを上げないことがおすすめです。
少しずつペースを落としてランニングを終了すれば、身体への過度な負担を抑えつつ、清々しい感情のまま運動を終えることができます。
気持ち良いランニングのための心構え
ドーパミン、セロトニン、エンドルフィンの3つ物質が感情に大きく貢献していることが分かりました。
これらの物質の効果を存分に得るためには、走る前の私たちの心構えも非常に重要です。
そして、気持ちの高まりの作り方には次に紹介するちょっとしたテクニックがあります。
メンタルトレーニングの技術を学び、前向きな姿勢で練習に取り組みましょう!
言葉は心に影響する
ランニングに慣れるまでは、走ることを苦痛に感じてしまうものです。
世界のトップレベルの選手でも時には弱気になる時もあるぐらいですから、ネガティブな感情が生まれるのは仕方のないことだと言えるでしょう。
大切なのはその後の行動で、心に思った弱気な感情を口に出さないことです。
メンタルトレーニングでは「クリアリング」と呼ばれる方法で、気持ちの弱さを指摘されることの多いスポーツ選手が取り組んでいます。
言葉と気持ちはリンクしていると言われており、まずは口に出す言葉をコントロールして感情に働きかける手法です。
しかし、人間ですので時には思い切り言葉にして弱音を吐きたい瞬間もあるでしょう。
そんなときは、時間を区切って時間内に全部言い切るようにします。
決してタイムオーバーをしないのがポイントで、割り切ることで気持ちを切り替えるテクニックが身に着きます。
具体的な目標を決めて、やり通す習慣をつける
何となく運動をしなくてはと思い運動を始める人が大勢ですが、長続きする人はほんの一握りです。
それもそのはず、人間は目的を定めなければ行動を持続させることができません。
また、「10kg痩せる!」など結果の目標だけを立てる人もいますが、そこに向けての道筋をきちんとイメージできていなければ目的が定まっていないのとほぼ同じです。
例えば、「10kg痩せること」を目指すのならば、「そのために毎日20分ランニングをする」といった具体的な行動の目標を決めるようにしましょう。
そして、少々のことでは20分のランニングをやめないことも重要です。
ペースを落としても良いので、毎日の行動目標を積み上げていくことでその行動に喜びを見出せるようになります。
この段階まで来ることができれば、あとはさほど苦労しません。
走ることが日課になり、余裕も出来て新しい魅力の発見が増えていくこと間違いなしです。
真面目さを捨ててみる
真面目にやることで自然と結果が付いてきたり、目的を達成できると言いますが、この考えは非常に危険です。
このような思考が強い人ほど、固定観念に縛られる傾向があり物事の本質を見失う危険性も大きいと考えられています。
スポーツを行う際も、勝利にこだわりすぎてしまい、練習や試合の喜びを忘れて損をしている人も大勢いるのです。
特に日本の場合、勝利至上主義を掲げる部活動も数多く存在しており、そのような環境で育つと柔軟な思考が制限されてしまうこともあるでしょう。
本来、身体を動かす事は自分の意思で自分のやりたいことを実践することに意義があります。
あらかじめ予定を立てておくのは重要ですが、その日の状況を考慮して柔軟な対応をすることも重要です。
身体の声に耳を傾けるのは、今の自分に必要なことを常に探し出す習慣づけにもなるので、こり固まった思考はほぐしてあげましょう。
大きな舞台を想定する
淡々としたランニングも、シチュエーションを設定することでやる気が高まります。
例えば、自分が箱根駅伝を走っていると仮定しましょう。
強く状況をイメージできれば、集団で競り合ったり多くの歓声に囲まれたりと、テレビで見ている光景の中に自分が入り込んでいる感覚を味わうことができます。
一見すると実にシンプルで単純な方法ですが、大規模なイベントを用いて自分の価値を高める手段はメンタルトレーニングでも用いられています。
気持ちにマンネリ化が見られる時に有効ですので、自分がヒーローになったつもりで走ってみましょう!
サプリメント・ドリンクの利点
気分の高揚には自分自身の心の持ちようが大切なことが分かりました。
加えて、市販されているサプリメントやドリンクでも気分を高めてくれる効果を持つものが販売されています。
それらについて、利点と気を付けたい点を考えていきましょう。
気分を高めるメカニズム
気分の改善が目的のサプリメントの多くは、充分な休息を促す成分を配合しています。
脳の栄養不足が原因であると考えて、自己の回復能力を高めることを主眼に置いているのです。
そのような意味では、前項でも紹介したトリプトファンを含んだサプリメントは睡眠の改善だけではなく気分の改善にも効果があると言えます。
セロトニンやメラトニンといった睡眠に関与するホルモンの分泌を促すため、質の高い休息を取って結果として脳の働きの改善を狙います。
薬による気分の改善と聞くと、違法薬物であるコカインやヘロインを連想する人も多いでしょうが、これらの薬は違ったメカニズムで気分を高揚させます。
これらは脳の前頭前野付近の神経系に影響を及ぼし、薬を摂取しなくては充分に快の感情を感じることができなくなるように作用します。
一度このような状況に陥ると修復は極めて困難であり、心身が疲弊していく一方ですので絶対に服用してはいけません。
特許成分を配合した「ネムリス」
休息を促して脳を元気にするサプリメントとしておすすめなのが「ネムリス」です。
筑波大学の研究により、国内では初めて休息データによる検証により効果が実証されています。
秘密は特許成分の「ラフマ油抽出物」で、豊富なビタミンやアミノ酸がセロトニンの分泌を促します。
植物由来の成分かつ農薬も使用していないため、安全性も十分です。
睡眠不足が原因で慢性的な気分の不調に悩まされている人にとって、うってつけのサプリメントだと言えるでしょう。
カフェインの摂取
カフェインを含んだドリンクなども気分の高揚に効果があると言われています。
中枢神経を刺激することで覚醒作用や強心作用をもたらし、エネルギッシュな状態を作り出します。
市販されているものでは「レッドブル」や「モンスター」が有名で、摂取している人も多いです。
気分が乗らないとき、疲労を感じるときは走る前に飲んでみるのも良いかもしれません。
過剰摂取はNG!
即効性があり、手軽に購入できるカフェイン配合のドリンクはつい多用しがちですが、過剰な摂取は悪影響をもたらします。
頭痛やめまいは副作用として有名であり、収縮していた血管が拡張されることで頭痛持ちの人はかえって症状が悪化してしまうこともあるのです。
また、覚醒状態が続くと睡眠にも影響が及び、十分な休息が取れなくなる可能性も高まります。
中毒症状が起こるのも過剰摂取が原因であり、できれば最後の手としてカフェイン飲料の摂取は取っておきましょう!
まとめ
今回はランニングによる気分の改善の要因、そしてメンタルテクニックとサプリメント・ドリンクについて解説していきました。
基本は自分で楽しくランニングができるような工夫を行うことです。
毎回の練習で新しい発見ができれば、自然とモチベーションも高まって走ることが楽しくなります。
そのような精神状態を作り出すためにも、さまざまな媒体を用いて情報を集め、実践していきましょう。
チャレンジする精神が、きっとあなたのトレーニングをより有意義なものへと昇華させてくれます!