持久力の正体は?持久力をつけるメカニズムと具体的な食事をわかりやすく解説

スポーツのみならず、生活のさまざまなシーンで持久力は必要になります。

今回は、持久力とはいったい何なのか?その正体を突き止めて科学的に分析することで、メカニズムをわかりやすく解説しています。

また、持久力を身に付けるために必要な食事にもスポットをあててみました。

持久力をつけるための食事や、トレーニングに必要な食事、大会などに向けてのトレーニングメニューとそれに合わせた食事のレシピ、大会当日に欠かせない食事やサプリ、大会後の食事など、すぐに活用できる内容になっています。

持久力ってそもそも何だ?

君は持久力があるね・・・、本当に粘り強く頑張れる人だよね・・・。

スポーツに限らず仕事などさまざまなシーンで耳にする持久力。

いったいこの持久力の正体は何なのでしょうか?忍耐力?根性?いやいや、そのような精神論だけではマラソンコースの42.195kmは走破できません。

人が活動するためのエネルギー源になっているのは、グリコーゲンという物質です。持久力を身につけるためには、グリコーゲンを肝臓や筋肉などに蓄積させる必要があります。

つまり、肝臓や筋肉に貯蔵したグリコーゲンこそが持久力の正体だったのです。

グリコーゲンをいかに上手に肝臓や筋肉に蓄えられるのか、それが持久力をつけるカギになります。

ただし、やみくもに、グリコーゲンの原料である炭水化物を食べても、グリコーゲンを蓄えることはできません。

炭水化物を摂りすぎてしまうと、過剰分が体脂肪として蓄えられてしまい、肥満の原因になってしまいます。

ではどうしたら効率良く肝臓や筋肉にグリコーゲンをたくさん蓄えることができるのでしょうか。

肝臓に貯蔵できるグリコーゲンの量は、300~400kcal(重さに換算して100~120gほど)程度だと言われています。

およそ8時間で空になってしまう貯蔵量です。また、筋肉には900~1200kcal (300g)前後のグリコーゲンが貯蔵できると言われています。

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持久力(グリコーゲン)を蓄えるためには肝臓と筋肉が重要!

持久力をつけるためには、身体が健康であること、肝臓が元気であるということが大前提になります。

例えば、お酒を飲み過ぎて肝臓に脂肪が貯まっているような状態では、グリコーゲンを蓄える余力がありません。

スポーツ選手が飲酒をほどほどに制限するのはそのためです。

また、筋肉量も重要になってきます。筋肉量が多ければ多いほどグリコーゲンの貯蔵量も多くなります。

肝臓などの内臓を健康な状態で維持するためには、バランスの良い食事が欠かせません。

エネルギー源となるご飯やパン、麺類などの炭水化物に加えて、肝臓や筋肉を形作るタンパク質、筋肉の疲労回復に欠かせないビタミンB1を多く含む豚肉や野菜など、それぞれの役割を考えたバランスの良い食事が大切です。

筋肉はトレーニングをすることで鍛えられます。身体の故障など、さまざまなトラブルを予防するためには、バランス良く筋肉を鍛えることが重要です。

すべての動きをつかさどる体幹筋のトレーニングから、末端の筋肉まで、丹念に筋肉を鍛えるトレーニングを行いましょう。

体幹筋には、お腹周辺の腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、横隔膜などのほか、腰周辺の大腰筋、腸骨筋、お尻の大臀筋、中臀筋、小臀筋、股関節外旋筋群、骨盤底筋群、背中の脊柱起立筋、多裂筋、広背筋、僧帽筋などがあります。

これらの筋肉を左右バランスよくトレーニングするメニューを毎日こなすようにしてください。

具体的なトレーニングとして、足腰を鍛える(フロントランジ)があります。足を前後に大きく開いて、深くしゃがみ込んでいくトレーニングです。

また、腹筋を鍛えるトレーニング(クランチ)、背筋を鍛えるトレーニング(バックエクステンション)なども併せて行い、体幹筋を鍛えます。

姿勢良くイスに腰かける、階段の上り下りを繰り返すといった日常の基本的な動きも体幹筋を整えて鍛えるトレーニングになります。

グリコーゲンをより多く貯蔵する体質づくりも重要です。

トレーニングで肝臓や筋肉に貯蔵しているグリコーゲンをいったん枯渇させることで、さらにグリコーゲンの貯蔵量が増加すると言われています。

また、トレーニングを行った直後に食事(もしくは糖分)を摂ることも重要です。トレーニング直後1時間以内に糖分を摂取すると、筋グリコーゲンの合成速度が速くなり、疲労回復力が速まると言われています。

持久力をつける効果がある食べ物にはどんなものがある?

持久力をつける食べ物には、体内に取り込まれてグリコーゲンになる炭水化物や糖をはじめ、筋肉の疲労回復を助けるビタミン類などがあります。特に、日本人の主食であるお米は、効率良くグリコーゲンが蓄積できる食べ物です。

その他に、疲労回復に効果のあるイミダペプチド(イミダゾールジペプチド)を多く含む「鶏むね肉」や「ささ身肉」なども積極的に食事に取り入れると良いでしょう。

イミダペプチドは別名「翼成分」と呼ばれています。

アミノ酸結合体の一種である「イミダペプチド」には、高い抗疲労効果があり、渡り鳥が、1年間に何万キロも羽ばたいて移動できるのは、羽の付け根にイミダペプチドが含まれているからだと言われています。

長時間のトレーニングや運動をすると、筋肉の中に大量の活性酸素が発生します。

イミダペプチドには、活性酸素の発生や細胞のダメージを抑えて、疲労を回復させる成分が含まれています。

また「鶏むね肉」や「ささ身肉」には、脂質がほとんど含まれておらず、良質なタンパク質が主成分なので、筋肉を増強させる食材としても理想的です。

糖質の代謝や筋肉疲労の回復には欠かせないビタミンB1を多く含む、豚肉やうなぎ、タラコ、ナッツ類の摂取も忘れてはなりません。

また、グリコーゲンの生成やビタミンB1を吸収させる効果があるアリシンも重要です。

アリシンは、ネギ類(玉ねぎ、ニンニク、ニラなど)に多く含まれている成分です。油との相性が良いので、豚肉などと一緒に炒めて調理すると、効率的に摂取できます。

アリシンとタンパク質を上手に摂取できるレシピに「ニラ豆腐」があります。

「ニラ豆腐」は、ニラを刻んでつぶした木綿豆腐とごま油で和えた料理で、味付けは塩だけです。

手軽に作れて美味しいのでぜひ作ってみましょう。

ミトコンドリアを増やすことが持久力アップにつながる!?

近年、ミトコンドリアに関する研究が進み、人の老化現象・アンチエイジングの分野で注目を集めています。

ミトコンドリアは細胞の中に存在し、私たちが吸った酸素とグリコーゲン(グルコース)を反応させてエネルギーに変える役割を担っています。

重要な役割を果たしているミトコンドリアは、年齢とともに減少します。

年をとると持久力がなくなっていくのはそのためです。

しかし、ミトコンドリアは細胞に危機が迫ると増加するという性質を持っています。

細胞を飢餓の状態にする、または過酷なトレーニングをすると、ミトコンドリアを増やす細胞のスイッチが入り、ミトコンドリアを増産するようになります。

サルを使った実験で、普通の食事量のサルと、カロリーを70パーセント程度に抑えたサルで比較してみたところ、カロリー制限を加えたサルの方は、細胞の中のミトコンドリアが増加し、普通の食事量のサルに比べて見た目も若々しかったという結果が出ています。

参考:【金沢医科大学】腹七分目で若返ろう カロリー制限が長寿遺伝子活性化

人も同じで、食事の摂取を普段の70パーセント程度まで抑えると、細胞内のミトコンドリアが増加し、持久力が高まると考えられています。

また、ミトコンドリアを増やす効果がある成分としてタウリンにも注目が集まっています。

タウリンは、タコやイカ、貝類に多く含まれる成分で、胆汁酸の分泌を促す作用や、肝臓の働きを促す作用、肝細胞の再生促進作用などがあります。

大会前の持久力を蓄える練習メニューと食事、大会当日に持参する食事やサプリは?

マラソンの場合は大会の半年前くらいから目標を目指して走り込みを行います。

具体的には、400mを全速力で走り、200mを軽くジョギング×10本セットのインターバルトレーニング(週1回)や、1kmを8分のペースで3時間ほど走るLSDトレーニング(週1回)などを実施します。

ハードなトレーニングを行って、肝臓や筋肉に蓄えているグリコーゲンを枯渇させることで、グリコーゲンの蓄積能力を高める効果があります。

ちなみにシドニーオリンピックで金メダルを獲得した高橋尚子さんは、オリンピック前に1日70km以上の走り込みや、標高3,500mの高原で24kmの上り坂を走り込むといったトレーニングを行っています。

厳しいトレーニングを行った後は、すぐに食事を摂ることが大切です。

トレーニング後にすぐに食事をした場合と2時間後に食事をした場合を比較してみると、すぐに食事をした方は、筋グリコーゲンの合成速度が約3倍速かったという研究報告があります。

食事は、炭水化物を中心にして、タンパク質やビタミンを含む食材をバランスよく摂取するようにしましょう。

炭水化物がメインなので飽きやすくなりがちです。その場合は、炊き込みご飯やチャーハンにしたり、スパゲッティやうどん、ラーメンなどの麺類を織り交ぜたりして食べやすくしてください。

大会前のレシピ例を大公開!

【レシピ例】大会半年前~大会1週間前

朝:食パン(6枚切り2枚)、ハムエッグ、牛乳、果物(みかん、ブドウ)

昼:うどん(300g)、ポテトサラダ(ジャガイモ、ロースハム、ゆで卵、胡瓜、レタス、オリーブオイル、塩・胡椒を混ぜたもの)、果物(梨、西瓜)

夜:鶏の炊き込みご飯(または鰹の漬け丼)、ニラ豆腐(ニラを刻んで、手でつぶした木綿豆腐と胡麻油を混ぜて塩で味付け)、タコとワカメの酢の物、蒸し鶏に豆乳ソース(豆乳と醬油、酢を混ぜたもの)、果物(リンゴ、ブドウなど)

大会の1週間前からは、トレーニングの時間と強度を徐々に落としてゆきます。

食事内容は、前半の4日間は体調に合わせながら炭水化物を制限した低糖質食のレシピにし、残りの3日間は70パーセントほど炭水化物を増やした高糖質食のレシピにします。

【レシピ例】大会1週間前~大会3日前・低糖質食のレシピ


朝:梅おにぎり(1個)、ハムエッグ、オレンジジュース

昼:スパゲッティ(200g)、サラダ(リンゴ、胡瓜、レタス、レーズン)

夜:ご飯(お茶碗1杯)、豚肉の冷しゃぶ(練り胡麻ダレ)、サラダ(レタス、キャベツ、胡瓜)、果物(リンゴ、ブドウ)

大会前の3日間は、トレーニングの運動量を減らし、高糖質食を摂取することによって、肝臓や筋肉にグリコーゲンを蓄えます。

【レシピ例】大会3日前~大会前夜・高糖質食のレシピ

朝:ご飯(300g)、うどん、鮭の塩焼き、みそ汁(具は里芋)、高野豆腐、タコ酢、果物(パイナップル)

昼:タコのスパゲッティ(400g)、ポテトサラダ(ジャガイモ多め)、大学イモ、果物(みかん)

夜:親子丼(ご飯300g)、オニオンスライス、ワカメスープ、果物(バナナ)

※大会3日前からは、70パーセント炭水化物を増やした高糖質食のレシピにします。食物繊維の過剰摂取にも注意しましょう。

大会当日の朝

朝:梅干しおにぎり(2個)、餅(砂糖醤油)、みそ汁(具はジャガイモ)、カステラ(100g)、オレンジジュース

※大会当日の朝は、スタート時間の3時間前までに朝食を済ませます。食事内容は、おにぎりやお餅、パン、オレンジジュースなど、総摂取エネルギーのほとんどを糖質にします。また、大会当日は、消化が良いように軟らかく調理してください。

大会当日の飲料について

飲料は果糖を主体とする低濃度のグルコース液がおすすめです。直前やレース中のブドウ糖飲料の摂取は、インスリン反応を起こして低血糖になる危険があるので、注意が必要。ブドウ糖飲料の摂取は、スタートの3時間前までとしてください。

大会当日に持参するサプリ・水分補給について

レース中の筋肉疲労や筋肉痛対策に役立つアミノ酸サプリメントなどもおすすめです。最近は、走りながら摂取できる商品も出ています。水分は汗を補う形でこまめに飲むようにしましょう。

大会直後(その日の夜)に取ると良い食事

トレーニングや大会などの直後に食事をすると、より多くのグリコーゲンが筋肉に取り込めると言われています。汗を流してから食事をしたいという気持はもわかりますが、できるだけ早く食事をして筋グリコーゲンを早期に補填することが疲労回復に重要です。

試合直後で食事が摂れない場合には、糖質を含んだドリンクによる摂取を行います。

ドリンクは、オレンジジュースなどのフルーツジュース、お酢が含まれているバーモントドリンク、ハチミツとレモンを加えたドリンクなどがおすすめです。

糖質の上手な摂取方法が、疲労回復や身体のトラブル予防に役立ちます。また、持久力やスタミナアップにも影響してきます。

【レシピ例】大会当日の夜

夜:梅干しおにぎり(2個)、タコとワカメの酢の物(タコ、ワカメ、胡瓜、針生姜、三杯酢)ハチミツをかけたカステラ、オレンジジュース

※ゴールしたらできるだけ早く糖質(炭水化物)を摂取するようにしましょう。

 

科学に基づく上手な食事を行い、普段のトレーニングや疲労回復に役立てて下さい。

食事はあなたの持久力の大きな武器となります。

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