スタミナアップ!ミトコンドリアの働きと持久力との関わり

ミトコンドリアは、人間の体内でエネルギーを生成する細胞小器官の1つです。

人間の呼吸に関わる器官であり、私たちの健康な生活に重要な役割を担っていると言えるでしょう。

そんなミトコンドリアですが、近年は若返りや持久力アップに効果があるとして注目を集めています。

そこで今回は、ミトコンドリアについての解説を行って、おすすめのトレーニング法を考えていきたいと思います。

普段から意識して取り組んで、元気な身体を手に入れましょう!

ミトコンドリアの基礎情報

まず最初は、ミトコンドリアの基本から学んでいきましょう。

細胞小器官の1つであるミトコンドリアですが、この細胞小器官というのがそれぞれ細胞内で特殊な機能を持ち、異なった役割を担っています。

ミトコンドリアは、いわば細胞の「発電所」としてエネルギーの元となるATP(アデノシン三リン)を供給しているのです。

 

小さなひし形、あるいはソーセージの形をしており、生存している細胞内ではその形を変化させるなどしています。

内部にある膜は二重になっており、外膜はこれと言った特徴を持ちませんが、内膜はクリスタと呼ばれる棚状の突起構造を持ちます。

このクリスタが重要で、ミトコンドリア内に溶解している酵素は、クリスタの膜の一部を形成する酵素と共に、酸素を必要とする食物の分解反応を進行させます。

私たちが外界から取り込んだものをエネルギーとして利用できるのも、ミトコンドリアのおかげなのです。

エネルギー産生

ミトコンドリアは、解糖系で生じたピルビン酸をMCT(乳酸輸送担体:Monocarboxylate Transporter)を介して内部に取り込み、「TCA回路」でATPを作り出します。

この時、最初に取り込んだグルコース1分子は、最終的に36ATPへと変換されるため、非常に効率の良いエネルギー産生が行われていると言うことができるでしょう。

解糖系の場合は、ピルビン酸がLDH(乳酸脱水素酵素:Lactate dehydrogenase)によって乳酸へと変化する反応(乳酸からピルビン酸への変化にもLDHが関わる)において、1分子のグルコースから、2ATPしか産生されません。

また、クレアチンリン酸を利用した嫌気性のエネルギー産生でも、クレアチン酸1分子あたり1ATPしか産生されません。(瞬時にエネルギーを作り出すことができる利点があります)

 

 

ミトコンドリアを増やすトレーニング

では、ミトコンドリアを増やす具体的なトレーニングを考えていきましょう!

スタミナアップに重要なものだけあって、トレーニングの基本は有酸素運動になります

ウォーキングやジョギングを習慣化させるだけでも、細胞が活性化されるのです。

ここでは、日頃の運動習慣ごとに、有効なトレーニングについて考えていきます。

①運動習慣がない人の場合

普段から全く運動をしていない人の場合は、早歩きを取り入れてみましょう!

「3分早歩き→3分ゆっくり歩き」を繰り返すだけでも、少しきついと感じるはずです。

この「少しきつい強度」がポイントで、しかも連続して行うだけではなく、細切れにして時間を積み重ねても効果があります。

例えば、スーパーで買い物をしている間の1分間、通勤の間の1分間など、わずか1分を繰り返し行っても、体内の環境は変化していきます。

家の中で、スクワットを10回行うだけでもOKです。

少しきつい運動を貯金する感覚で積み重ね、1週間で60分を目指しましょう!

②週に2~3回の運動習慣がある人

週に2~3回の運動習慣がある人は、ぜひジョギングに取り組んでみて下さい。

ペース設定は、速くても息が少し上がる程度で、心地よく走り続けることができるペースが目安となります。

ポイントは、鼻から息を吸って口から息を吐くこと。

2回吸って2回吐くリズムを作ると、自然とペースが安定してきます。

時間は30分前後を目指しますが、体調に合わせて細かい調整は行っていきましょう!

③週に5~6回の運動習慣がある人

日頃から継続したトレーニングを行っている人の場合、なかなか普段のトレーニングだけではスタミナがアップしにくくなってきます。

これは、トレーニングの基本原則である過負荷の法則漸進性の法則に当てはまり、同じような強度のトレーニングを行うだけでは身体が強度に適応してしまい、効果が薄くなってしまうのです。

そのため、トレーニングの量や質は、習熟度合いによって少しずつ増やしていかなくてはなりません。

普段のトレーニングに加えて、週に1~2回を目安にして、心拍数がHRmax(最大心拍数)の80~90%の強度で追い込むメニューを加えましょう。

疾走期と緩走期を繰り返すインターバル走がおすすめで、水泳などにも応用することができます。

このレベルまで来ると、常日頃から体調を管理して適切な強度を見極める必要があるので、トレーニング強度には柔軟性を持たせることも大切です。

「training gym」の画像検索結果

気をつけたい食生活!

食生活を見直すことによっても、ミトコンドリアの働きを高めることができます。

何気ない部分ではありますが、その行動が知らず知らずのうちにミトコンドリアに負担をかけているかもしれません。

注意してポイントを押さえていきましょう!

過度な栄養摂取はNG!

たくさんの栄養を摂取することは健康な身体づくりに必要ですが、限度はあります。

特に「早食い」は厳禁です。

たくさんの食物が一気に消化されますが、その際にミトコンドリアを含めた多くの器官に過度な負担がかかります。

食事の際は、慌てずによく噛んで楽しむようにしましょう。

就寝前の食事は控える

寝る前は今後のエネルギー消費の減少が見込まれるため、体内環境もオフになっています。

しかし、このタイミングで食事やアルコールを摂取してしまうと、休んでいた器官たちをもう一度立ち上げなくてはならず、無駄な労力が必要です。

就寝する2時間前までには食事やお酒を摂取し終わって、後は身体を休める準備へと入りましょう。

摂取カロリーのバランス

一日の目安となる摂取カロリーは、成人で1800~2200kcalと言われています。(性別、体格による個人差あり)

これを均等に3回に分けて摂るのも良いですが、朝・昼・夕のウエイトをコントロールすることで、より効果的なエネルギーの産生へとつなげることができます。

多くしたいのは、朝と昼。

今後の活動が見込まれるため、体内環境も活発になっています。

エネルギー源となる糖質を中心に摂取して、はつらつとした活動ができる準備をしましょう。

反対に、夕食では摂取カロリーを少し抑えます。

今後の運動が見込まれず、体内でたくさんのエネルギーを作る必要がないためです。

糖質よりも、海藻類や緑黄色野菜、果物の割合を高めて、身体に蓄積した活性酵素の除去に努めましょう!

食後の運動でスムーズなエネルギー利用を

食事の後に適度な運動を入れることで、体内で作ったATPを素早く消費し、代謝を促すことができます。

しかし、食べ終わってすぐでは体内への負担が大きいため、食後90分以降を目安としましょう。

身体がびっくりしないよう、準備運動は念入りに行って徐々に運動を行える体内環境を整えることも大切です。

空腹でミトコンドリアは増える?

実は、空腹感によってミトコンドリアの数が増えることが分かっています。

エネルギーが不足していると身体が察知すると、PGC-1αというタンパク質が中心となってミトコンドリアを増やすのです。

ついつい手に取って食べてしまうお菓子をちょっと我慢して、美味しい夕食に備えるのも良いかもしれません。

「meal」の画像検索結果

ミトコンドリアのあれこれ

ここまでミトコンドリアの重要性について繰り返し述べてきました。

では、ここからはミトコンドリアにまつわるさまざまな研究や特性について紹介していきます。

興味深いミトコンドリアのことを知り、実態をよく理解しましょう。

病気のリスク

ミトコンドリアの遺伝子に異常が生じると、糖尿病やリンパ腫の発症リスクが高まることが筑波大学らの研究によって示唆されています。

研究チームがマウスのミトコンドリアの遺伝子を操作して呼吸能力を低下させ、活性酸素(非常に酸性が強い酸素)が生じるような突然変異を生じさせたところ、糖尿病やリンパ腫に高頻度で発症する結果が得られました。

突然変異を起こしたマウスに抗酸化剤を投与したところ、発症が抑えられたことからも、ミトコンドリアの遺伝子が大きな関係性を持っていることが考えられます。

パーキンソン病の場合には、ミトコンドリアの変性を抑えることで、症状の緩和が期待できることが順天堂大学の研究により示唆されています。

CHCHD2と呼ばれる遺伝子に異常があると、パーキンソン病を発症するリスクが高まることが明らかにされましたが、このCHCHD2がミトコンドリアの機能に関連しているのです。

これがないと電子が細胞膜から漏れ出して身体に害をもたらす活性酸素が作られてしまいます。

そこでCHCHD2がないショウジョウバエに、ミトコンドリアの変性を改善するタンパク質「4E-BP」を与えたところ、症状が改善する結果が得られました。

これら、深刻な病を予防するためにも、ミトコンドリアの働きは重要なのです。

元気な肌や髪のために

ミトコンドリアが、肌や髪にも良い影響を与えることも分かっています。

活性化したミトコンドリアは、発毛因子(FGF-10)を増加させて、脱毛因子(TGF-β)を減少させます。

それに加えて、毛母細胞の分裂も促進され、元気な髪が生まれるのです。

皮膚の場合もメカニズムは同様で、細胞分裂の促進によりヒアルロン酸やコラーゲンを産生する繊維芽細胞が活発に働き、肌にツヤが生まれます。

適度な運動などでミトコンドリアの働きを高めれば、肌や髪の若返りの効果まで期待できるのです。

「緑」の画像検索結果

まとめ

今回はミトコンドリアについての解説を行っていきました。

まだまだ分かっていないことも多く、これからたくさんの新しい情報が出てくることが予想されます。

特に、健康の分野に関しては、今後取り上げられることも多くなるでしょう。

そのくらい、私たちにとって重要な細胞小器官なのです。

規則正しい生活を心がけ、適度な運動を取り入れることで体内環境は整備されます。

アグレッシブで若々しい身体を手に入れるために、少しずつ頑張っていきましょう。

PAGE TOP