トレーニング後に素早く栄養補給ができるとあって愛飲している方も多いプロテイン。
以前、プロテインに含まれている栄養素や適切な飲み方についてはご紹介しました。
今回はその内容から派生して、プロテインを飲料に溶かして飲む際の正しい作り方、そして長持ちさせる保存方法について考えていきます。
誤った取り扱い方でせっかくのプロテインを無駄にしないよう、自分の取り扱い方と照らし合わせながら学んでいきましょう。
プロテインのおさらい
最初に、そもそもプロテインとはどのようなものなのかを振り返っていきましょう。
運動後の身体の状態
プロテインは直訳すると「タンパク質」であり、私たちの筋や細胞の構成を担っています。
市販されているプロテインは、トレーニング後で傷ついた私たちの身体を素早く回復させ、より強い身体にするための栄養素を多く含んでいます。
トレーニング後に身体に起きている現象の代表が次の3つです。
①エネルギーの不足
②筋肉の損傷
③ビタミン・ミネラルの不足
エネルギーの不足は、筋に貯蔵されているグリコーゲン(糖質)が不足していることによって生じます。
こちらは、炭水化物を摂取して回復を促すのが良いので、プロテインとは別の食べ物で補填しましょう。
筋肉の損傷とビタミン・ミネラルの不足については、プロテインの摂取で補うことができる部分です。
タンパク質と必須アミノ酸
タンパク質は、多数のアミノ酸がペプチド結合して構成されている高分子化合物です。
筋肉はタンパク質から構成されていますが、それを合成するためには必須アミノ酸が必要になります。
アミノ酸にはバリンやロイシンなどの必須アミノ酸と、グリシンやグルタミン酸といった非必須アミノ酸の2種類がありますが、体内で合成できる非必須アミノ酸に対して、必須アミノ酸は体内で合成できないため、必ず食事から摂取する必要があります。
体内のタンパク質を合成するには、全ての必須アミノ酸が十分に揃っている必要があるので、一度に摂ることが理想です。
プロテインは、豊富なタンパク質を含み、必須アミノ酸も確保できるためトレーニング後に推奨されています。
さまざまな食べ物を組み合わせて栄養素を確保するよりも、簡単で且つ確実に必要な栄養素を摂ることができるのです。
ビタミンやミネラルの補給
これは、運動後に不足しがちなビタミンやミネラルの補給にも言えることです。
筋に貯蔵されている糖質が利用されてエネルギーが不足した状態ですが、回復にはビタミンBが関与しています。
また、筋肉や血液中に酸素を運ぶ鉄も運動後に不足しやすい栄養素ですが、これもプロテインの摂取によって補えます。
このように、身体の諸機能の改善に必要な栄養素も、プロテインには含まれているのでおすすめできるのです。
特に、ミネラルに関しては普通の食事だけでは不足しがちなものなので、効果的に補うことができると言えるでしょう。
プロテインの種類
プロテインにはいくつかの種類があります。
代表的なものをおさらいしておきましょう。
①ホエイプロテイン
ホエイプロテインは、牛乳由来のタンパク質で、乳清タンパク質ともいいます。
乳タンパク質の20%だけに含まれる貴重な成分で、吸収が速いため体内での利用効率に優れており、ミネラルや水溶性ビタミンを多く含んでいるのが特徴です。
吸収が速いということもあり、強靭な肉体を必要とするラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツで多く用いられていますが、これに加えて疲労回復にも積極的に利用できるというメリットがあります。
しかし、吸収が早い分、過剰摂取をすると体脂肪として体内に蓄積されやすい欠点もあるため、過剰摂取には注意が必要です。
②ガセインプロテイン
ホエイプロテインと同じく、牛乳由来のタンパク質です。
ホエイプロテインが素早く体内に吸収されるのに対して、ガセインプロテインはゆっくりと体内に吸収されていく特性を持っています。
そのため、血中のアミノ酸量が長時間高い状態が続き、満腹感の持続を促してくれます。
ダイエットによく用いられるプロテインだと言えるでしょう。
欠点としては、水に溶けにくく、飲みにくいことが挙げられます。
市販されているものはホエイプロテインとの混合品であることが多いので、記載されている含有量を参考にしながら摂取すると良いでしょう。
③ソイプロテイン
ホエイやガセインとは異なり、大豆が由来のタンパク質です。
吸収速度は、ガセインプロテインと同じくゆっくりであり、満腹感の持続効果を期待できます。
ソイプロテインの大きな特徴は、代謝を促進して脂肪燃焼効果を高める働きが高いことです。
また、抗酸化作用によって皮膚が美しい状態に保たれたり、ホルモンバランスを整える作用があったりと、健康面での貢献も期待できるプロテインでもあります。
欠点としては、粉っぽい触感で飲みにくいことが挙げられます。
加えて、ソイプロテインに含まれている「イソブラボン」は、過剰摂取をすると女性ホルモンのバランスが崩れて、乳がんの危険性や胃腸の状態が悪くなるなどの悪影響が現れるため、過度の摂取は控えましょう。
プロテインの正しい作り方
前回までのおさらいができたところで、ここからは実際にプロテインを摂取する際の方法について考えていきます。
市販のプロテインは粉で売られているものがほとんどで、それを飲料に溶かすタイプが一般的です。
しかし、先ほどの項でも触れたように、それぞれのプロテインで特徴が異なるので、注意が必要な場面もあります。
そのような違いも踏まえながら、正しい作り方を学びましょう。
適切な分量
一回に摂取するべきプロテインの量は、約14~21gです。
それに対して、飲料は200ml~300mlが適切な量です。
市販のシェイカーを使えば、目盛りを見ながら量を調節できます。
飲み物の種類
プロテインを溶かすものでもっとも一般的なのが、水です。
これは皆さんもイメージがしやすいと思います。
プロテインの味をそのまま再現できるシンプルな飲み方なので、まずは水に溶かして飲むことから始めると良いでしょう。
早く吸収させたい!
トレーニング後、すぐにタンパク質を吸収させたい人におすすめなのが、スポーツドリンクに溶かして飲むことです。
スポーツドリンクは身体に吸収されやすいようになっており、その恩恵を受けることができると言われています。
しかし、ここで注意したいのが味の組み合わせです。
スポーツドリンクは柑橘系の甘みを持っているものが多いため、プロテインもグレープフルーツ味などの爽やかな風味のものと合わせると良いでしょう。
ココアやバニラなどとはあまり相性が良くありません。
腹持ちを良くしたい!
なるべくゆっくりと吸収させて腹持ちを良くしたい場合は、牛乳や豆乳などの乳製品に混ぜて飲むのがおすすめです。
特に、牛乳由来のガセインプロテインと組み合わせれば、とても腹持ちが良くなって空腹感を抑える効果が期待できます。
欠点は、脂肪分が多くなりがちなこと。
タンパク質と同時に脂質も摂取することになるので、1日の摂取量は調節しましょう。
カロリーを抑えたい!
できるだけカロリーを抑えたい方におすすめなのが、先ほども挙げた豆乳です。
牛乳と比較すると、豆乳は牛乳の約3分の2ほどのカロリーしかなく、タンパク質の含有量は牛乳とほぼ一緒です。
ホエイプロテインやガセインプロテインにはないタンパク質なので、これらに混ぜて飲むと不足している部分も補えてさらに効果的だと言えるでしょう。
※番外編 食べ物にする
飲み物に混ぜて摂取するだけではなく、プロテインの粉を食べ物にアレンジして摂取する方法もあります。
例えば、ココア味のプロテイン。
こちらは、パウンドケーキに混ぜておいしくいただくことができます。
柑橘味系のプロテインであれば、固めてゼリー状にすると一気に食べやすくなり、夏におすすめです。
このように、料理に一工夫して変化させることもできるので、自分でアレンジを考えてみるのも良いでしょう。
プロテインの正しい保存方法
プロテインの正しい作り方が分かったら、最後は保存方法について学びましょう。
理想は冷蔵庫
基本的にはプロテインの保存方法は、「高温多湿」でなければどこでも良いとされています。
冷蔵庫はそのような環境とは対極にあるとも言えるので、できるだけ冷蔵保管しましょう。
ただし、キムチや納豆など、臭いが強いものの近くに置くと移ることがあるので注意が必要です。
冷凍庫は長期保存で用いる
一度開封して、数カ月摂取する予定がないようであれば、冷凍庫での保存をおすすめします。
再度取り出して使用する場合は、常温に戻してから摂取するようにしましょう。
1年以上などの長期保存となるとさすがに無理があるので、3カ月以内が目安となりそうです。
シーン別保存方法
〇車の中
ジムでトレーニングする人に多いのが、車内にプロテインを保存する方法です。
持ち運びの面では良さそうですが、車内での保管は一番避けなくてはいけないことです。
先ほども挙げた適切な保存場所、「高温多湿でない場所」というのがありましたが、車内は非常に高温多湿な環境であることが多いです。
便利ですが、車内に置くのは避けましょう。
〇バッグの中
これも避けたい保存場所です。
移動先でプロテインを摂取する時は、到着後にバッグから出しましょう。
☆作り置きは絶対にNG!
プロテインをドリンクに混ぜた状態で保管する人がたまにいますが、これも避けなくてはいけません。
雑菌の繁殖、カビの発生など、有害な影響ばかりが出て得することがありません。
一度作ったドリンクは、なるべく2時間以内に摂取しその場で飲み切るように意識しましょう。
雑菌だらけのドリンクを飲んでも、身体を壊してしまうだけです。
まとめ
今回は、プロテインの作り方や保存方法について考えていきました。
デリケートなものであり、扱い方によってはあまり効果を発揮できなくなります。
裏を返せば、正しく利用すればトレーニングの効果を大幅に高めてくれるものでもあります。
日頃から気を配って、トレーニングによる身体づくりに役立てましょう!