ストレッチボール・フォームローラーを使った凝りの解消法

はじめに

突然ですが、ストレッチボールフォームローラーといった道具をご存知でしょうか。

名前から何となく想像できる通り、主にエクササイズに用いるアイテムとして知られています。

ステイホームが叫ばれている昨今、テレビやSNSなどで見たことがあるかもしれません。

凝った所によく効く」と通販番組でもたまに紹介されています。

もともと、昔から販売されていたアイテムでしたが、新型コロナウイルス渦中の今、再び注目を浴びるようになっています。

ステイホームや在宅ワークで運動する機会が減っており、「身体中が凝ってしまう」なんていうことが起きやすくなっています。

最近では、スポーツ用品店や街中のジムだけでなく、Amazonなどの通販サイトでもよく見かけるようになりました。

ストレッチボール・フォームローラーとは?

ストレッチボールとフォームローラーが何かと流行っている、というのはわかりました。

ですが、ストレッチボール・フォームローラーの使い方やその効果を「正しく理解している人」はどれだけいるでしょうか。

「ストレッチボールで筋膜リリース」、「ストレッチボールを筋肉の上で転がすだけで疲労回復」、「フォームローラーの上に寝転がるだけで姿勢が改善」など、ちょっと胡散臭い言葉もよく耳にします。

本当にそれだけで筋肉の疲労が改善されるのかと疑問に思いますし、筋膜リリースって何なのかと疑わしく感じることも少なくありません。

実際に、現在ストレッチボール・フォームローラーを使われている方の中でも、なぜ筋肉に良いのか、どういった効果があるのか、どう使えば良いのか、それらを曖昧にしたまま使用されている方も多いのではないでしょうか。

今回この記事では、第4章でストレッチボール・フォームローラーの正しい使用方法を、第5章で解剖生理学的な効果をお伝えしていきます。

つまり、どう使えば良いのか、なぜ筋肉の凝りが解消されるのかということについて理解を深めていきます。

これを機に、正しい知識を身に付け、ストレッチボール・フォームローラーを有効活用していきましょう。

「 筋肉の凝り 」とは?

まず、筋肉の凝りについて解説していきます。これによって、ストレッチボール・フォームローラーについての理解が深まります。

よく肩が凝った、首筋が凝ったという表現をしますが、「凝る」とは一体、どういった状態なのでしょうか。

凝りの原因は、大きく2つあります。順を追って説明していきましょう。

筋肉の攣縮(スパズム)

 

まず1つ目は、筋肉の攣縮です。実際に試してみましょう。

今のままの姿勢でいいので、全身にグーッと力を入れてみてください。姿勢はそのまま動かさず、グーッとです。

全身に力が入り、身体がカチコチに固まっているのが感じられると思います。では、ふっと力を抜いていきましょう。

頭に血がのぼり、うっ血して顔も熱くなったと思います。全身の筋肉や関節は、少し痛かったのではないのでしょうか。

筋肉が凝っているときというのは、まさしく、そのような状態が慢性的に続いているということになります。これが、攣縮という状態です。

筋肉がこわばり、縮んでしまっているのです。想像してみてください。先ほど全身に力を込めて力みました。

もし、その状態を何十分も、何時間も続けたとしたら、一体、どうなるでしょうか。

筋肉が攣縮してしまうと、こわばって縮んだ筋肉が周りにある毛細血管を圧迫し、血流の停滞を引き起こします。

また、筋肉の周囲には細かい神経(侵害受容器など)も通っているので、それら痛み神経も同時に圧迫してしまうのです。

血流が停滞してしまっては、疲労物質(乳酸や一酸化窒素など)や痛み物質(プロスタグランジンやヒスタミン、インターロイキンなど)が溜まり、だるさや痛みを引き起こします。

痛み神経も圧迫されているので、直接的に痛みも生じます。これらが、筋肉の凝りに関係する痛みや重だるさの原因なのです。

組織間の癒着

 

2つ目に押さえておきたいのが、「筋膜と皮下組織で起こる組織間の癒着」です。

私たちの体は、皮膚で覆われています。しかし、実際は皮膚だけではなく皮膚の奥には、皮下組織と呼ばれる脂肪組織が存在しています。

そして、その皮下組織のさらに奥に、筋膜が存在し、筋肉があるという人体構造です。

試しに、手の甲の皮膚と、ふくらはぎの皮膚をギュッとつまんでみてください。手の甲では、つまんだときに皮膚とその皮下組織を感じられると思います。

そして、そのつまんだ皮膚と皮下組織の下には、ゴツゴツとした骨の存在が確認できます。

それでは、ふくらはぎはどうでしょうか。手の甲よりも皮下組織が分厚く感じられるのではないでしょうか。

そして、そのつまんだ皮膚と皮下組織の下には、ふっくらとしたふくらはぎの筋肉が触れると思います。

なんとなくで構いませんが、皮膚、皮下組織、筋膜、筋肉の順番でお互いが接している、もしくは少しくっついていることを理解していただけたのではないでしょうか。

こわばって縮んだ筋肉では、これら皮下組織と筋膜も縮んで硬くなります。そして、蓄積した老廃物により、皮下組織と筋膜が癒着してくっついしてしまいます。

筋肉の攣縮と同様に、この皮下組織と筋膜の癒着も、筋肉の凝りの原因となるのです。

ここでは、この組織と組織がくっついてしまうことを組織間の癒着と呼ぶことにします。

先ほど皮膚をつまんでもらいましたが、凝りのある部分はなかなかつまみづらくなります。これが、皮下組織と筋膜の間に起こる組織間の癒着です。

最後に、ここで筋膜についてもう少し詳しく述べておきましょう。先ほどから、筋膜はあたかも皮下組織と筋肉の間にあるもののように言ってきました。

しかし、そうではありません。筋膜は、筋肉の中にも存在します。つまり、筋肉の表面だけではなく、筋肉全体に筋膜があるということです。

少し難しいですが、最表面の筋膜を筋上膜といい、深層に向かうにつれて筋周膜、筋内膜と名前が変わっていきます。

これらは全てつながっているため、筋肉がこわばった際は、全ての筋膜が縮んで硬くなるのです。

ストレッチボール・フォームローラーの使い方

筋肉の凝りについて理解できました。

次は、ストレッチボールとフォームローラーの詳しい使い方をご紹介していきます。

ストレッチボールとフォームローラーを使って、凝りをほぐしていきましょう。

ストレッチボール

 

まず、ストレッチボールについてです。用意するのは手のひらサイズのストレッチボール。

ポイントは3つあります。

転がし方

 

まず、転がし方です。凝っているなと思う部位にストレッチボールを当て、コロコロと転がしていきます。痛気持ちいい、くらいの強さがベストです。

手で転がす方法の他に、ストレッチボールを床に置いてそれを踏む、またはその上に寝転ぶという方法もあります。手の届かない背中などには効果的です。

パートナーがいる場合は、手伝ってもらうのも1つの方法です。痛すぎる場合は、タオルなどを使い、その上から転がすのもいいでしょう。

痛気持ちいいくらいの強さがベストですが、それより弱くても構いません。表面を軽く転がすだけでも充分に効果があります。

ですが、あまりに強く押さえつけるのだけはやめてください。筋組織が破壊されてしまい、逆効果になりかねません。

強く転がした方が気持ちいいと言う人がよくいますが、やめておきましょう。

転がす範囲

 

次に、転がす範囲です。肩なら肩全体、背中ならお尻から肩まで、ふくらはぎならふくらはぎ全体を転がしていきましょう。

凝った筋肉の全体を転がすことによって、より凝りがほぐれます。

できるだけ、多くの範囲を転がすよう心がけ凝っていて痛い部分以外も転がしていくのが重要なポイントです。

転がす時間

 

最後に、一番重要なポイントである転がす時間です。

軽く10秒ほど転がして、もういいやと止めてしまう方が多いのではないでしょうか。

転がす時間は、最低でも30秒、できれば1~2分間続けてください。

これだけの時間を転がすことによって、やっと筋肉がほぐれていきます。それ以下の時間は全く効果がないものと考えてください。

フォームローラー

では、今度はフォームローラーの使い方です。

用意するのは上半身くらいの長さのフォームローラー。ポイントは、ストレッチボールと同じです。

ただし、フォームローラーならではの特徴が2つあるので、次の項目で説明していきます。

大きさ

 

1つ目に、その大きさです。ストレッチボールよりも大きいため、背中やお尻、太もも、ふくらはぎなど、比較的広い面積の部位に有効です。

先ほど、凝った部分だけでなく、それ以外の部分も転がすことがポイントだと述べました。

フォームローラーでは、広い範囲を一度に転がすことができるため、非常に便利です。

姿勢改善とストレッチ効果

 

2つ目に、姿勢を改善しながら、胸やお腹周りを伸ばすのに有効だということです。

フォームローラーを背骨に沿わせ、仰向けに寝転がります。重力に沿って自然と胸が張り、身体の前面が伸びていくのがわかるでしょう。

このように、フォームローラーは転がして使うだけでなく、姿勢改善やストレッチ用としても使えるのです。

 

ここまで、ストレッチボールとフォームローラーの使い方を簡単にまとめてきました。使用用途は基本的には同じです。

しかし、それぞれに特徴があります。

原則を守れば使い方は無数にあるので、身体のいろいろな部位に試していって、自分だけのオリジナルの方法を模索してみるのもいいでしょう。

ストレッチボール・フォームローラーの効果

前項では、ストレッチボールとフォームローラーの使い方をまとめていきました。

ここでは、ストレッチボールとフォームローラーでなぜ凝りが解消されるのかを、専門的な視点から詳しく説明していきます。

凝りが解消される仕組みを理解することで、使い方や効果も違ってきます。そのコツを掴んでいきましょう。

筋肉の凝りの原因は2つありました。筋肉の攣縮と、組織間の癒着です。

つまり、ストレッチボールとフォームローラーは、この筋肉の攣縮と組織間の癒着を取り除いてくれるわけです。

その仕組みを、2つに分けて説明していきます。

ストレッチ効果

 

まず、ストレッチ効果です。ストレッチボールやフォームローラーを転がすと、筋肉は少なからず押された状態になります。

これがストレッチになり、筋肉の攣縮を軽減してくれます。ここで、親指くらいの太さで、30cmくらいの長さのゴムをイメージしてみましょう。

そのゴムを両端からビヨーンっと引っ張るのが、いわゆるストレッチです。

次に、そのゴムを机に置いて、上からグッグッと押し込むようなイメージを持ちます。

どうでしょうか。少なからずゴムは潰されて、少し伸びるかと思います。実は、これがストレッチになっているのです。

みなさんもよく行う「揉む」という行動と同じです。ストレッチボール・フォームローラーを転がしているときは、このようなストレッチ効果が筋肉にもたらされているのです。

前述した、できるだけ広い範囲を転がそうというポイントも理解できたのではないでしょうか。

筋膜リリース効果

 

次に、筋膜リリース効果です。

ストレッチボールやフォームローラーを転がすと、皮膚と皮下組織、皮下組織と筋膜、筋膜と筋肉がこすれ合います。

そのこすれ合いによって、それぞれの組織間の癒着が剥がれていきます。

くっついていた組織が、こすれ合って剥がれていく。これが、筋膜リリース効果です。

次にふくらはぎの皮膚をつまんで、左右にスライドさせてみてください。

このとき、間違いなく皮下組織と筋膜はこすれ合い、剥がれています。このような効果を、ストレッチボールとフォームローラーがもたらしてくれるのです。

皮膚をつまんだだけでは、皮下組織と筋上膜(筋肉の表面の筋膜)が剥がれるだけです。

しかし、ストレッチボール・フォームローラーは筋肉を押さえながら転がすものなので、筋肉の中の筋周膜や筋内膜までこすれ合って剥がれていきます。

つまり、効果が筋肉の奥深くまで届き、効率的に組織間の癒着を取り除いてくれるのです。

まとめ

以上、ストレッチボール・フォームローラーを使った凝りの解消法についてまとめていきました。

筋肉の凝りへの理解からはじまり、ストレッチボール・フォームローラーの使い方、効果の仕組みまでが頭の中で整理できたと思います。

今回学んだ知識をもとに、正しい方法でストレッチボール・フォームローラーを有効活用していきましょう。

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