下半身の怪我を知る②

ランナーが陥りがちな下半身の怪我について考えていくシリーズ、今回はその2回目です。

前回は、膝の怪我とシンスプリントと、多くのランナー、特に初心者が苦しむことが多い怪我について解説していきました。

そして今回は、ケアを疎かにしがちだけど実はあなたの未来のトレーニングに悪影響を及ぼしかねない「隠れ重症」の怪我がテーマです。

皆さん一度は経験したことがある痛みでも、適切な対処をしないと一大事になってしまいます。

基本的なところからもう一度よく考えて、怪我の恐ろしさについて真剣に向き合いましょう。

「足底が痛い」は危険!

まずは初心者も苦しむことが多い足底の痛みから。

運動を始めたばかりのランナーから熟練者まで、様々なレベルの人が足底の痛みに悩まされることが多いのではないでしょうか?

これらの痛みは、足底筋膜炎によるものがほとんどです。

皆さんも一度は耳にしたことがある怪我の名前だと思います。

足底筋膜炎とは?

足裏には、指と踵をつなぐように筋肉の膜があり、これを足底筋膜と呼びます。

私たちが歩いたり走ったり、地面の上で活動をするときは一番最初にこの足底筋膜が地面からの衝撃を受けることになります。

通常は足底筋膜が地面からの衝撃に耐えることができるのですが、繰り返し衝撃を受けることで柔軟性が低下したり緊張状態が持続したりして本来受ける負荷以上のものがかかり、炎症が生じるのです。

原因は?

足底筋膜の柔軟性の低下や緊張状態の持続は、アキレス腱や腓腹筋、ヒラメ筋の過緊張から起こることが多いです。

これは、この部位のオーバーユースが引き金となるため、走り過ぎが足底筋膜炎を発症させる原因だと言えるでしょう。

また、足のアーチが崩れている人は足底筋膜炎を発症しやすいと言われています。

偏平足の人は足が回内(内側にひねった状態)しやすいため、土踏まずに負担がかかりこの部分に疼痛が走ることが多いです。

反対に、ハイアーチの人は足底の柔軟性に欠け、足底筋膜の損傷が起きやすい状態が存在します。

骨格上、足底筋膜炎になりやすい人もいるため、自分がどのような足底の特徴を持っているのかは把握しておく必要がありそうです。

痛みを感じる原因は、筋膜の微小な断裂や炎症などが、足底にあって脛骨神経の分岐である外側足底神経に伝わることです。

圧痛や膨張、場合によってはしこりが見られることもあります。

段階ごとの症状

足底筋膜炎は、その進行具合で症状が大きく変わります。

痛み出した直後、発症直後は走っている途中で少し足の裏に違和感を感じる程度で、ランニング終了後には消失します。

それがやや進行すると、走り始めから痛みを感じるようになり、走り終わっても痛みがしばらく続きます。

この段階までは、ランニングの中止などの休養で対処できますが、さらに進行すると厄介です。

休養でも自然と回復しない段階になると、朝起きて一歩目に床につく足に響くような鋭い痛みを感じるようになります。

そして、歩くだけでも激しい痛みを伴うようになり、悪化すると歩けないほどの状態になることもあるのです。

こうなると、自然治癒だけでは回復は望めません。

何かしらの対策を講じる必要があります。

治療とリハビリ

急性期には、何よりも炎症を抑えることが大事です。

練習を中断するのが必須で、足裏への負担減少に真っ先に取り組みましょう。

同時に消炎鎮痛剤を利用して、痛みが引くのを待ちます。

それでもあまり効果がない場合は、足底部や下腿三頭筋に対して低周波治療や低出力レーダーなどの処置を施し、痛みを和らげるように努めましょう。

また、毎日のストレッチも欠かしてはいけません。

症状の程度にもよりますが、このような取り組みを続ければ、1~3カ月のうちに回復して痛みは消えます。

痛みが消えたら運動によるリハビリを開始しますが、この時の一工夫が重要です。

まずはテーピング。

足底のアーチを保護するように巻いて、衝撃を和らげましょう。

また、最近では自分に合ったシューズのインソールを用いることも良いとされています。

スポーツ店などに行くと足型を測定してくれて、自分に合ったインソールを紹介されたり、オーダーで作ることもできます。

テーピングやインソールの変更といった方法で、足底部のアーチ形状を機能的に補正することも重要なのです。

痛みが長期化している時は

これらのような方法を用いても、悪化した足底筋膜炎の時はなかなか痛みが引いてくれないこともあります。

足裏は常に地面と接して負荷のかかる部分であるため、自然治癒が難しい部位でもあるのです。

半年以上改善が見えない場合は、踵に付着している骨棘を直接手術によって取り除く方法もあります。

長期間足底筋膜炎を患っていると、筋や骨の位置が変わることもあるので、骨を取り除いて圧迫を軽減させる方法が有効なのです。

しかし手術後のリハビリは難しいもので、特に足底部の手術後は体重の支え方が手術前と変わり、うまく歩けなくなる人も中にはいるそうです。

リスクはありますが、どうしても痛みが取れない人は検討してみてはいかがでしょうか?

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「足首の捻挫」を軽視してはいけない!

さて、次に解説していくのは足首の捻挫についてです。

段差があるところで足をくじいたりして、足首を捻挫したことがある人はいるでしょうか?

他のスポーツ、例えばサッカーやバスケットボールでも捻挫はよくある怪我で、サポーターなどを着用しているプレーヤーも大勢見たことがあると思います。

骨折とは違い、コンタクトしても我慢できる痛みであることが多いので動きながら完治を目指している選手も多いと思いますが、それは間違っているといえます。

軽視されがちな足首の捻挫ですが、きちんと治さないと一生苦しむことになりかねないのです。

足関節の構造

足関節は、脛骨、腓骨、そして距骨の3つから構成されており、外側(腓骨側)は前距腓靭帯、後距腓靭帯、踵腓靭帯で囲まれています。

内側(脛骨側)は三角靭帯で構成されており、これらの靭帯が3つの骨を支えることで足関節の安定性は保たれているのです。

可動域が大きい足関節ですが、この可動域は靭帯のバランスの良いポジショニングから生まれるといって良いでしょう。

原因・受傷レベル

足関節は、外反方向(小指が浮く方向へひねる)よりも内反方向(親指が浮く方向へひねる)に可動域が広い関節です。

そのため、多くが外側に位置している前距腓靭帯、後距腓靭帯、踵腓靭帯が伸びたり断裂したりする捻挫です。

ランニング中の場合は、段差などに乗っかってしまうと予期せぬタイミングで急激に内反が起こり、それに耐えきれずに靭帯がダメージを負います。

また、捻挫には靭帯の損傷具合によって程度が3つに分かれています。

1度から3度までで症状やリハビリが必要な期間も変わってきますが、こういった段階分けはあまり認知されていないのが現状です。

1度捻挫

靭帯の微細な損傷や圧痛がありますが、少しひねった程度であるため、2~3日で復帰が可能な痛みである捻挫です。

歩行や軽いジョギングも可能ですが、強度が高すぎると靭帯が伸びたり傷ついたりするので注意が必要です。

2度捻挫

靭帯の部分断裂が起きている段階の捻挫です。

圧痛や腫脹が強く、歩ける程度ですがジョギングに耐えることができる痛みではありません。

装具やテーピング、副木固定が必要で、専門機関での受診が勧められます。

競技への復帰についても、早くて2週間、長引く場合は2カ月以上がかかるとされています。

3度捻挫

完全に靭帯が断裂した状態が3度捻挫、一番重症である捻挫です。

圧痛や腫脹、熱感や皮下出血が強く、自分で歩くのがやっとな状態です。

医療機関での受診はもちろん、ギプスや装具による強固な固定、状態がかなり悪い時は靭帯の縫合手術が必要になります。

競技復帰には、最低3カ月、もしくはそれ以上が必要になり、リハビリをきちんと行わないと怪我をする以前の動きへの回復は望めなくなるため、焦りは禁物です。

治療

捻挫の治療の基本は、RICE処置と呼ばれる方法です。

スポーツの怪我に広く用いられる方法で、腫れや痛みを抑える効果が期待できます。

R=Rest 安静

怪我をしてまず最初に行うのは、安静です。

どのような部位を受傷したのか、どのような処置が必要なのかを把握するのには一定の時間を要するので、それらの情報がない場合は動かさないのが得策でしょう。

怪我をした部位だけではなく、心臓に近い関節(股関節など)もなるべく動かないようにするのが良いです。

I=Ice 冷やす

患部を安静にしたら、その次は氷やアイスパックで冷やし、炎症を抑えます。

その際は、冷やすために使うものをタオルやビニール袋にくるんでからあてるようにしましょう。

直に冷やすと、凍傷を引き起こすことがあります。

テープなどで巻き付ける方法がありますが、患部を圧迫しすぎないようにすることも大切です。

怪我をして48時間は急性期なので、そこまでは冷やす期間を作ります。

きちんと冷やすことができれば、自然と痛みや腫れは引いていきます。

C=compression 圧迫

圧迫といっても、強く締め付けるにではなく、患部が極端に動かないように支えることを指します。

足関節の場合は、可動域を制限しつつ歩行などの衝撃を吸収できるサポーターが良いでしょう。

サポーターを着用したままシューズを履くと締め付けが強くなりすぎるので、可能であれば外を出歩くときはサポーターを着用してサンダルなどでゆとりを持たせることも必要です。

痛みが引けばサポーターがなくても十分に動くことができますが、足関節の緩さが残り左右のバランスが崩れることが多いので、左右差がなくなるまでは締め付けの弱いサポーターを着用してランニングをするのが良いと思われます。

E=Elevation 挙上

これは怪我をした直後が主の方法です。

心臓よりも高い場所に患部を挙げて、血流が心臓に戻るようにします。

こうすることで血流が促進され、炎症を抑えるのに必要なものが患部に届きやすくなります。

靭帯の断裂が疑われるような、重症と思われる捻挫の際に用いるようにしましょう。

捻挫の治療は最初が肝心!

前述した足関節捻挫の治療は、受傷した直後すぐに行うのが非常に大切です。

1回目の捻挫できちんとした処置を行わなかった場合、足関節の緩さが残り、身体のバランスが崩れたり一定方向の負荷に極端にもろくなったりします。

「捻挫は癖になる」と言われるのはこのためです。

何度も同じ部位を捻挫すると、インピンジメント症候群を引きおこすこともあります。

インピンジメント症候群

ランニングの際、軸足で地面を蹴り上げたときに踵あたりに痛みが走るならばインピンジメント症候群が疑われます。

足関節が底屈した際、足関節で骨同士が衝突したり、軟部組織が挟み込まれたりすることで痛みが生じます。

繰り返し同じ箇所を捻挫してその状態を放置して運動を続けると、次第に伸びた靭帯が骨を引っ張り、骨同士がぶつかる状態が生まれたり、骨棘が形成されたりするのです。

リハビリはプールやエアロバイクなど、踵後方に過度な負荷がかからない条件で行うことが好ましいとされています。

また、床に座って足を伸ばし、チューブによって軽い負荷をかけながら足関節の底屈と背屈を繰り返し行うことで、可動域の回復を目指していきましょう。

これらを継続して行うことで、足関節の緩さは少しずつ和らいでいきます。

左右のバランスの違いに苦しんでいる人は、地道に取り組んで力を最大限前方への推進力に変えることができる走りを目指しましょう。

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まとめ

今回は足底筋膜炎と足関節捻挫について解説を行っていきました。

受傷範囲は広くない2つの怪我ですが、これらは私たちの運動に多大な悪影響を与えます。

重大に考えられていなくても、長期化しやすいので注意が必要です。

様々なところに危険因子はあるので、日頃からのケアを大切にして、発症を未然に防ぎましょう!

以下は怪我についての前半の記事です。

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